ラケットを買う時に、打球感やグリップがいいなと思って、買ってきたら練習していく中で何となく合わないと感じながらプレーしていませんか?自分に合うと思って購入したラケットもそのままでは使えません。この記事ではお手入れとそのやり方をお伝えします。

ラケットの手入れをすることで得られるプラスアルファ

結論から言うと、ラケットを手入れすることとそのやり方を知れば、自分の手に合い、テクニックの幅が変わるなどプラスアルファに作用しスキルアップができます。

ラケットは購入した状態が完成形ではありません。練習を重ねていくうちに、汗や摩耗、あるいは自身のスイングや感覚の変化によって、最初は気にならなかったことが違和感を感じるようになってきます。例えば、中学校に入学後に卓球部に所属し、少しでも早くレベルを上げてライバルに勝ち、チームでレギュラーになりたいと考えている新入部員A君は、初心者から這い上がろうとする段階では、技術や戦術だけでなくラケットへの理解も不可欠です。しかし、何をすればいいのか分からないと悩む新入部員の選手はとても多くいます。また、子育てが落ち着き、学生時代の部活動の経験から再度卓球を始めてみようと考えているものの、以前とラケットやテクニックが変わり、練習相手はいるのに地域の大会で2回戦進出止まりでなかなか勝てないと悩むBさん(シニアプレイヤー)も同様です。

初級者レベルのうちは、スイングやフォーム自体を急激に変えることは難しいため、ラケットを自分の手にアジャストさせる視点が重要です。日々の練習で「何となく持ちにくい」「打球時の感触がしっくりこない」と感じたとき、そのまま放置してプレーを続けると、無意識に余計な力みが生じてしまい自身の能力を発揮できないままプレーしてしまいます。適切なお手入れと調整を行うことで、ラケットが手と一体となり、プレー中のストレスが解消されて技術習得のスピードが大きく向上していきます。

ラケットの試し打ちのフィーリングと性能で選ぶと…

手入れが必要な理由は、購入時はほとんどが規格通りに製造されているため、最初は使用時に気にならなくても練習時間とともに違和感を感じてきます。
参考:日本卓球協会公式サイトの競技規則ページ をご確認ください。
https://jtta.or.jp/laws

ショップでの試し打ちやカタログスペック上の性能だけでラケットを選ぶと、実際の長期間の練習や試合の中でズレが生じます。なぜなら、人間の手の大きさ、微妙な形の違い、指の長さ、そして指の太さは一人ひとり異なっており、均一に作られた市販のグリップが完全にフィットすることは稀だからです。A君やBさんのように購入時より手に合わないと感じたり、使用していくうちに打球感や打球の軌道が合わなくなってきたりするのはそのためです。また、新入部員A君のように何から手をつければいいか迷っている初心者にとっても、まずは自分の手に道具を合わせるという視点を持つことが大切なのです。

最初は「打ちやすい」と感じても、使い込むうちに指の当たる部分に痛みを感じたり、特定の角度で握りにくさを覚えたりするのは、道具がまだ自分の手に馴染んでいない証拠です。道具の性能に自分の手や感覚を合わせるのではなく、ラケットを自分の手に合わせてカスタマイズしていく発想が、自分の感覚に合うラケットとなり、試合で勝てる選手への第一歩となります。

どの戦型のラケットでもお手入れは必須

筆者は中学からスポーツ推薦で大学まで進学し、中学では県大会個人戦3位・団体戦関東大会出場、高校では県大会個人戦優勝・ダブルス2位・団体戦2位(関東・全国大会出場)、大学では3大会連続インカレ出場および個人で全日本学生選手権出場という経歴があります。社会人チームからのオファー経験もあり、現役時代は裏ラバーのペンホルダーから両面裏ラバーのシェークハンドの攻撃型としてプレーしてきました。引退後は、卓球スクール指導(10年)の経験を持ち、幅広い年齢層への技術・戦術・メンタル指導を行ってきました。
スクール生のために片面裏ラバー・裏面粒高ラバーのカットマンも含め、卓球スクールで選手相手にあらゆる戦型を直接指導してきましたが、どのような戦型の選手であっても、すべてのラケットに対して「削る」という手入れを徹底させてきました。戦型やレベルを問わず、ラケットへのこだわりと微調整こそが技術力を高める共通の当たり前のお手入れです。

ラケットの手入れをする必要があること3選

①ラケットであれば手になじむように削ってフィット感をだせば、ラケットコントロールがしやすくなる。

ペンホルダーであってもシェークハンドであっても、グリップの角や指が当たる部分は人によって微細な当たり心地が異なります。サンドペーパー(紙やすり)等を用いて、自分の指の形状や握ったときのくぼみに合わせて何度も削りながら、握りなおして素振りをしながら木部を丁寧に削り、完全に手になじむようにフィット感を出すことで、台上でラケットの向きがブレなくなります。結果として、細かい台上処理やレシーブ時のラケットコントロールが劇的にしやすくなります。(※鉄製の棒やすりは削れ過ぎてしまうためできるだけ使用は控えましょう。一度削るともとには戻らなくなります。)

②ラケットの握り方がよくなり、グリップに余裕が生まれスイング時の角度調整がしやすくなる。

既製品のままでは指が変に干渉してしまい、余分な握力を使わなければならなくなるケースがあります。手に合わせて削ることで無駄な力みが抜け、リラックスした状態で正しい握り方を自然とキープできるようになります。グリップに余裕が生まれると、インパクトの瞬間の細かなラケット面の角度調整がスムーズになり、サーブ・レシーブ・ラリー中のミスを大幅に減らすことができます。

③グリップがよくなることで、サーブ・ドライブなど回転やスピードが上がる。

手にしっかりとフィットしたグリップは、手首の可動域を最大限に広げ、スイングスピードを加速させると共にボールに当てる角度の幅が出る。サーブを出す瞬間や、レシーブでの長短のコントロールと回転量や、ドライブで鋭い回転とスピードをかける際、指先の力がダイレクトにボールへ伝わるようになります。感覚的にストレスなくスイングできるため、お手入れ前と同じスイングパワーであっても、打球の質や威力に大きな差が生まれます。

この3つを叶えるやり方の1つである「ラケットを削る」というやり方は、日頃から自分の手に敏感に向き合うプレイヤーにとって必須のメンテナンスです。

まとめ

「ラケットを削る」というお手入れをすることで、スキルアップができるようになります。何か1つの技術がレベルアップするのではなく、総体的にレベルアップすることができます。また、その他のメリットは、お手入れによって長年愛用することができる点にもつながりますので、ぜひ実践してみてください。
※効果の感じ方には個人差があります。