少年野球の試合中、エラーや四球が続くと、つい声が大きくなることはありませんか。何とかしてほしい気持ちがあっても、ミスを責めるだけでは、次のプレーで何をするかは伝わりません。
私が心がけているのは、できなかったことを責める前に、良かった点を見つけることです。
本記事では実際に使っている声かけと、練習中の子どもへの接し方を紹介します。

少年野球で怒らない指導を大切にしている理由

ミスの後も次のプレーに集中してほしい

エラーをした選手に「何やってるんだ!」と怒鳴っても、起きたミスは戻せません。次の打球が来る前に、気持ちを切り替えてもらいたいところです。
私は、悪いプレーが出ても、その中でできていた点を見つけて伝えます。こうした声かけを続ける中で、ミスを引きずらず、次のプレーに集中する子どもたちの姿を見てきました。
試合中に細かい反省を求めるより、まず次の打球や打者に備えてもらう。声をかけるときは、そこを意識しています。

怒らないだけでなく、努力や改善を認める

怒鳴らずに接していても、子どものプレーを見て何も伝えなければ、できていたことまで分かりません。結果に加えて、取り組みや動きにも目を向けたいと考えています。
Smithらの2007年の研究では、少年少女のバスケットボール指導者に研修を実施しました。努力や改善を重視する指導を学んだコーチのチームでは、選手の競技不安が低下しました。
少年野球や「怒らないことだけ」の効果を調べた研究ではありません。それでも、ミスの後の励ましや、努力を認める接し方を考える参考になります。

試合中は、できていた点と次の行動を伝える

エラーの後は「次、切り替えてこう」

私がエラーをした子にかける言葉は、「次、切り替えてこう」です。
捕球に失敗しても、その後の送球が良ければ「送球はよかったぞ」と伝えます。捕球のミスと送球の良さを分け、実際にできていた部分を言葉にします。
何でも褒めるのではなく、そのプレーを見て良かった点を伝える。その方が、本人も何ができていたかを確かめられます。

四球や三振の後は、次にすることを短く伝える

四球を出した投手に「なんでストライクが入らないんだ」と言っても、次の一球で何をするかは伝わりません。
例えば、「次の打者には、どう投げていこうか」と聞く方法があります。三振した打者なら、「次の打席はどんな球を待つ?」と問いかけることもできます。
答えが出ないときは、見ていたプレーに合わせてヒントを出します。ただ、試合中に質問を重ね、答えを求め続ける必要はありません。次のプレーに間に合う声かけを選びます。

修正点を一度にいくつも伝えない

守備でミスをした直後にも、次の打球は飛んできます。捕球姿勢、足の運び、送球と、いくつも指摘していては準備が遅れます。
修正を伝えるなら、今やることを一つに絞ります。「しっかり守れ」だけではなく、実際に見えた課題に合わせて、動きが分かる言葉で伝えます。
ミスの原因を詳しく振り返るのは、プレーが落ち着いてから。試合中の声かけと、後で確認する内容は分けて考えます。

練習中にふざける子には、まず理由を聞く

「どんな練習ならできそう?」と本人に尋ねる

練習中にふざけたり、説明を聞かなかったりする子には、感情的に叱る前に理由を聞きます。
「どうした?」「どんな練習ならできそう?」と尋ね、本人が何を感じているのかを確かめます。
練習が難しいのか、やり方が分からないのか。最初から「やる気がない」と決めつけず、話を聞いてから対応を考えます。
本人に聞くことは、好きな練習だけを選ばせることではありません。取り組めない理由を知り、練習に戻る方法を探すためです。

周りの子どもの意見も聞く

何度伝えても話を聞かないときは、私は周りの子どもたちにもどう思うかを聞くことがあります。
仲間がどう感じているかを知る機会にはなりますが、一人をみんなで責める形にならないようにしたいところです。
チーム全体で考えるなら、「みんなが集中して練習するには、どうしたらいい?」と問いかける方法があります。注意が必要な行動については、周りの子に任せきりにせず、指導者が伝えます。

怒らない指導でも、伝えるべきことは伝える

危険な行動は、その場で止める

人が近くにいるのにバットを振るなど、危険な場面では、まず行動を止めます。
「人がいる方向に振ると危ない。素振りはこの場所でしよう」と、理由と次の行動を具体的に伝えます。
怒鳴らずに伝えることと、注意をしないことは別です。安全に関わるときは、理由を聞くより先に止める判断も必要になります。

礼儀や、自分で考える姿勢も育てたい

私が少年野球の指導で大切にしているのは、人としての成長です。
挨拶や礼儀、仲間の話を聞くこと、自分の考えを伝えること。そして、目標に向かって努力すること。野球の練習や試合には、そうした経験を積む場面があります。
勝つ喜びも、負けた悔しさも経験してほしいと思っています。うまくいかなかったときには、大人の答えを待つだけでなく、自分で次の行動を考えられるようになってほしいです。

まとめ|ミスの後こそ、声のかけ方を考える

エラーの後は、できていた部分を見つけて伝える。集中できないときは理由を聞き、危険な行動はその場で止める。
私が意識しているのは、怒るかどうかより、その声かけで子どもに何を伝えるかです。
次の試合や練習では、ミスだけで評価を終わらせず、できていた行動を一つ見つけて伝えてみてください。

参考文献

子どもの努力や上達を重視する指導と、試合への不安を調べた研究
スミス、スモール、カミング(2007年)
バスケットボールの指導者への研修を通じて、指導の仕方と選手の競技不安の変化を調べた研究です。少年野球や、「怒らないことだけ」の効果を検証したものではありません。
掲載誌:Journal of Sport and Exercise Psychology、第29巻第1号、39〜59ページ
※上の見出しは、研究内容をわかりやすく説明したものです。