東京オリンピックで28年ぶりのベスト8進出、国際大会での上位進出、イタリアセリエAをはじめ海外での日本人プレーヤーの活躍など、一時の低迷期を乗り越え日本男子バレーボール界がここ数年で非常に活気を見せている。
そんな令和の日本男子バレーボール界を代表するプレーヤーと言えば、V1リーグ、ジェイテクトSTINGS所属のサウスポーエース西田有志選手だ。
高校在学時に内定選手としてV1リーグデビューを果たし、18歳で全日本代表に選出され、その日本人離れした攻撃力を武器に日本男子バレーボール界の若きエースとして君臨し、世界からも大注目を浴びているスター選手だ。
このコラムではそんな日本男子バレーボール界を牽引する小さな大エース、西田有志選手にスポットを当てその手本となるプレーや身体的能力に少しでも近づき、プレー向上に繋がる実践的な話をしていこう。

西田有志

三重県出身2000年1月30日生まれ 身長187㎝ 体重82㎏ 最高到達点346㎝

球歴

2018年 海星高等卒業後、Vプレミアリーグ ジェイテクトSTINGS入団
2018年~2021年 ジェイテクトSTINGS所属
2021年~2022年 ヴィボ・ヴァレンツィア(イタリアセリアA)所属
2022年 ジェイテクトSTINGSに復帰

代表球歴

2018年 全日本初選出
2018年 世界選手権出場
2019年 ワールドカップ出場 ベストオポジット、ベストサーバー賞獲得
2021年 東京オリンピック出場

西田有志選手の特徴、プレースタイル

西田選手の特徴といえば、身長187㎝とアタッカーとしては非常に小柄な体格ながらも驚異的で超人的な身体能力から繰り出される世界でもトップレベルの攻撃力が最大の売りである。
小柄な体を最大限に使ったダイナミックで躍動感あふれるフォームから強烈なアタック、サーブで得点を量産し、主要な世界大会でも世界の名だたるビッグプレーヤー達を抑え、個人タイトルを獲得するなどのキャリアを上げている。

注目ポイント

身体的にアタッカーとしては決して恵まれた方ではない西田選手がなぜ、世界でもトップクラスのアタッカーとして活躍できるのか?
世界屈指の爆発的な攻撃力、プレースタイルはどこで、どうやって身に付けられたのか、視点を変えれば小柄な選手でも日々の練習、鍛錬次第ではメリットを伸ばし、どのポジションでも充分に通用するプレーヤーになれる、という事を西田選手から学ぶ事ができる。
西田選手のような選手に近づく為に、自身のレベルアップにつながるトレーニング方法を探ってみよう。

西田有志選手から学ぶ体づくりとスキルアップトレーニング

ここからは西田選手のような身体能力に近づく為、加えてバレーボールにおいて重要な筋力を養う事が出来るトレーニング方法を2つ紹介したい。
筋力トレーニングと一言で言ってもかなりのトレーニング方法があるが、何よりも身に付けたい即効性の高い非常に有効なトレーニング方法をピックアップしたのでぜひ参考にして頂きたい。
上記のように西田選手の最大の魅力は何といっても爆発的な攻撃力だ。
その秘密は何かというと、ズバリ下半身の筋力と肩の筋力にある。 

下半身を鍛えるトレーニング

バレーボールでスパイカーにとって最も必要なのはやはりジャンプ力である。
ジャンプ力を上げるために下半身の筋力を鍛える事が言わずもがな、必須だ。
特に股関節部分の筋肉である腸腰筋から太腿部分までの筋力を鍛える事が特に重要である。

~シングルレップのスクワット

下半身を鍛えるトレーニングの中で最も代表的なトレーニング方法がご存じスクワットだ。
その中でも応用的なトレーニングとしてシングルレップのスクワットを紹介しよう。

  1. ①まず40cm程の高さの台を用意し、台に上る。
    (身長によって高さを変える。目安は膝の下。)
  2. ②右足を台の端ギリギリに残して左足が宙に浮くように移動し直立姿勢を取る。
  3. ③そのままの姿勢でスクワットを行うように右足を曲げ左足が地面に着いたら伸ばす。
  4. ④回数は慣れるまでは片足5回ずつを3セット程度で行うのがいいだろう。

慣れてきたら回数を増やしていき+αでダンベルを持って胸のあたりで静止させて行うと負荷がかかりビルドアップ効果が高まる。

注意点!!
背中が曲がらないような姿勢を意識。
台の高さは膝を曲げた時に膝が90度になる高さに合わせる。

スパイクやサーブは屈伸体制をとるので腸腰筋が鍛えられ且つ、柔軟性がつくと踏み込み時のパワー解放、その後の空中姿勢のバランス維持にかなり効果的である。

肩に筋力をつけるトレーニング

スパイクの威力を左右するのが上半身のパワーだが特にパワーアップしたいのが肩の筋力だ。中でも注力したいのが上半身最大の筋肉、三角筋、そして肩の関節部分を支える棘下筋だ。
この両方を効率良くパワーアップさせる事ができる簡単なトレーニングを紹介しよう。

~懸垂

懸垂は単純なトレーニングだが、肩から背中にかけての筋力アップに対して非常におすすめのトレーニングだ。
まずは懸垂ができる環境を確保してほしい。(公園の鉄棒、専用器具など)

  1. ①肩幅よりも拳1~2つ程広めにバーを握る。
  2. ②顎とバーが同じ高さになるまで体を持ち上げ、その後ゆっくり元に戻す。

これを最初は5回程度からはじめ、慣れてきたら10~20回を目安に行ってみよう。

注意点!
懸垂は握り方が2種類あり、掌を前方に向けて握るプルアップ(順手)、掌を顔の方に向けて握るチンアップ(逆手)だ。
一般的にはプルアップの方が広背筋、三角筋を鍛えるには向いていると言われている。
ただチンアップの方が極端な筋力は使わないので慣れるまではプルアップの方がいいだろう。
また握る位置を広く取ることで肩への負荷が高くなり棘下筋をよりビルドアップする事ができる。

いま紹介した2つのトレーニング方法、西田選手も自身の動画サイトの中で解説付きで実際に行っているトレーニング方法でもある。
西田選手は更に応用を効かせたトレーニングを行っていたが、どんな環境であれアスリートにとってかなりの効果が期待できる実践的なトレーニング方法には間違いない。

まとめ

今回は全日本男子バレー代表のエースアタッカー西田選手をお手本にし、その身体能力とスキルに迫るため、という内容で話をさせてもらった。
どのスポーツにも言える事だが、自身のプレー向上のために目標とする人物、また手本となるような選手を想定しその高みに少しでも近づく意識を持つ事、また可能な範囲でまずは~真似~をするというが非常に重要なスタートである。
そしてプレーに対する情熱、レベルアップへの意欲、忠実に基本を重んじた姿勢それらを交えて、何より努力の先にある日々の成長を感じ、信じ、そしてその成長の体感を楽しみながらレベルアップをしていって欲しい。