バレーボール3大大会の中でも最高の舞台であるオリンピックへの
出場権をかけ2023年夏、全日本男子バレーボール代表は
世界のトップチーム、トッププレーヤー達と激戦、熱戦を繰り広げている。
その登録メンバーの中に注目すべき選手の名があった。
期待の大型プレーヤー、佐藤駿一郎選手だ。
名門東海大学バレーボール部からVリーグの強豪、ジェイテクトSTINGS入りし、
2018年に全日本代表に初選出され、2022年には世界選手権の代表メンバーに名を連ねた。
今季は国際大会公式戦でのベンチ入りこそまだ実現していないものの、
200㎝を超えるその体格、ポテンシャル、身体能力はまさに日本の切り札、秘密兵器と
言っても決しておかしくはないだろう。
今回のコラムでは日本バレーボール界期待の大型プレーヤー、佐藤駿一郎選手から学ぶ
大型選手が身に付けるべきスキル、またプレー向上のためのトレーニング方法などに
スポットを当てていきたい。
佐藤駿一郎
宮城県出身2000年5月17日生まれ 身長205㎝体重95㎏ 最高到達点352㎝
球歴
2016年 | 東北高校に進学 |
---|---|
2019年 | 東北高校卒業後、東海大学に進学 |
2022年 | 東海大学卒業後、Vプレミアリーグ ジェイテクトSTINGS入団 |
代表歴
2017年 |
U-19日本代表選出 世界ジュニア選手権出場 アジアユース選手権出場 ベストブロッカー賞獲得 |
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2018年 |
U-20日本代表選出 全日本代表初選出 アジアジュニア選手権出場 アジア競技大会出場 |
2019年 |
U-23日本代表選出 U-23アジア選手権出場 |
2022年 | 世界選手権出場 |
佐藤駿一郎選手の身体的特徴、プレースタイル
佐藤選手の最大の特徴と言えばやはり205㎝の身長から繰り出される高さのある
プレーが魅力だ。
言わずもがな、バレーボールプレーヤーにとって高さは最大の武器だ。
最高到達点は350㎝を超える。
手足の長さもあり、200㎝級の
選手の中でもコンスタントな高さを出す事ができる選手だ。
だが佐藤選手の最大の長所は他にある。
それはセンタープレーヤーの醍醐味である
ブロック能力だ。
特に注目されるのがブロック時の横移動の速さ。
ブロックを完成させるまでスピードは大型選手の中でもトップクラスと
言っていい程、コンパクトで無駄の少ない移動方法でブロックの完成形に至っている。
注目ポイント
どのスポーツでも言える事だが、外国の選手に比べ日本人選手は身体的な部分から
プレーの格差が生じてしまう。
バレーボールで顕著に見られるのが身長の高い
大型選手の運動能力だ。
センタープレーヤーいうポジションではブロックの動き、クイックスパイクの助走、
スパイクフォームなど諸外国の選手に比べ日本人大型選手はスピード、プレーの幅に
遅れをとってしまう事がほとんどだ。
そのような現状の中、ブロックというプレーにおいて佐藤選手のようなスピーディな
サイドステップ、無駄のない動きを身に付けるためにはどうすればいいか。
自身のレベルアップにつながるトレーニング方法を探ってみよう。
佐藤駿一郎選手から学ぶスキルアップトレーニング
横の動きに対応するためのトレーニング
センタープレーヤーがブロックの動作に移り、ブロックの最終的な形、忠実な
基本姿勢を出すために重要なポイントとして初動からブロックジャンプするまでの
横の動きのスピードが挙げられる。
よって佐藤選手のように効果的なサイドステップを
生み出すために効率の良いトレーニングというものが重要になってくる。
反復横跳び
運動能力テストなどで誰しも1度は経験したであろう反復横跳び。
単純なトレーニングだがサイドステップの質をあげるには持ってこいのトレーニングだ。
特に大型選手が細やかなサイドの動きや素早い方向転換動作を身に付けるには
非常に効果的な基礎トレーニングでもある。
- 基本的なトレーニング方法として1m感覚で3本のラインを引き真ん中のラインを跨いだ状態でスタートする。
- 20秒で左右合わせて40回以上を目標にこれを最低でも5セット、練習のスケジュールの開始時と終了時に組み込み合計10セットを行う。
注意点!!
あくまでブロック時におけるサイドステップのためのトレーニングなので速さや回数に
重きを置くのではなく、重心がブレないイメージとブロックの移動動作のイメージを
頭の中に常に忘れずに持っておく事が重要だ。
体幹バランスを向上させるトレーニング
ネット際でのサイドステップは体幹を鍛えれば鍛えるほど動きが安定してくるもの。
手足の長い長身選手は特に下半身を中止とした体幹、姿勢のバランスを重視した
トレーニングが大切だ。
サイドキック&クロスキック
下半身を中心とし横の動きを安定させるトレーニング方法で、
サイドキックとはスピードスケート選手のような動きでコンパクトに左右に動く
トレーニングだ。
- 肩幅程度に足を広げ腕は顔の前で止め前傾姿勢を維持する。
- 片方の足を軽くジャンプしながら1mほど横にスライドさせ、もう片方の足をそれに追いつくようにスライドさせ最初の前傾姿勢を取る。この時手の動はきスピードスケート選手が滑るようなイメージで交互に動かす。
- これを左右往復10回で1セット、トータルで5セットを目標に行ってみよう。クロスキックとはサイドキックの応用で基本姿勢は同じで違いは移動時に足をクロスさせながら移動する形だ。
- 外側の足をもう片方の前でクロスさせ、その動きの勢いで残った足を同方向に動かす。
- サイドキックは1歩、クロスキックは2歩の動きという事になる。
- これも上記同様のメニューで練習に組んでみよう。
注意点!!
なるべく腰の位置を引くくし、背中が丸まらないように意識する。
最初の1歩を力強く蹴り出し、ただ移動するという単純動作にならないようにする。
まとめ
今回は全日本バレーボール男子代表期待の大型プレーヤー佐藤駿一郎にスポットを当て
長身選手向けにピンポイントな話をさせてもらった。
スポーツというジャンルにおいて身長が高いという事はそれだけで大きな武器だ。
もちろんバレーボールにおいても同様。
ただ重要な事は大型プレーヤーだという自覚がプレーヤーとしてのレベル向上に
歯止めがかかる要因にならない事だ。
体格的に恵まれているというメリットに甘んじることなく、身長の伸びにように
プレーも限りなく伸びていくよう努力を惜しまず日々鍛錬に勤しんで欲しい。