ハンドボールで小さい選手が自分よりも大きい選手に負けないための戦略は何か。この疑問に答えるため、この記事では小さい選手が有利に立ち回る具体的な方法を解説する。
学生時代に国体選手としての経験を持ち、ハンドボール歴20年の筆者が自身の経験に基づいて執筆している。
■この記事で得られること
- 小さい選手特有の利点と不利点
- 効果的なプレースタイルと戦術の紹介
- ゴールキーパーとしての特別な技術と戦略
この記事を読めば、身長がハンデとならないプレーの仕方が明確になり、自信を持ってコートに立つことができるようになるだろう。
ハンドボールで小さな選手の利点と不利点
ハンドボールの世界では、体の大きさがパフォーマンスに影響を与えると一般的に考えられている。大きな選手は手足のリーチが長く、身体接触されてもシュートまで持ち込めたり、上体だけで守れたりする。
一方で、小さい選手は大きな選手に接触されると不利な面は否めない。しかし、実際には小さい選手にも独自の利点がある。
なぜ小さい選手は不利とされがちか?
小さい選手は身長やリーチの短さから、ディフェンスを突破しにくいことやオフェンスからはノーマークで打ちやすいとみなされがちだ。
特に、ロングシュートがディフェンスの枝にあたるとかディフェンスで相手の腕を抑えきれないなど不利になる場面が存在する。
小さい選手の持つユニークな利点
一方で、小さい選手はアジリティ(敏捷性)やスピード、フェイント技術において優れていることが多い。これらはハンドボールで非常に価値のあるスキルであり、大きな選手には真似できないプレースタイルを可能にする。
また、低い重心からくるバランスの良さは、緩急を使った動きや縦横無尽にキレのある動きにおいて大きな利点となる。
小さい選手が有利に立ち回る方法
小さい選手がハンドボールで活躍するための鍵は、身体的な特徴を最大限に活かすことにある。身長が低いことは、一見すると不利に思えるかもしれないが、実際には数多くの利点がある。
特に、スピードとフェイントの使用、フィジカルとアジリティーの強化、効果的な体の使い方とポジショニングは、小さい選手が大きい選手と競争する際に重要な要素である。
スピードとフェイントを駆使する
小さい選手は一般的に敏捷性が高く、これを生かしたスピードとフェイントは相手を惑わせる最良の方法だ。1対1をする際は相手の間合いに入らないこと。そして、相手ディフェンスの半身ずれた状態での攻めや空いているスペースを狙って攻撃を仕掛けることが重要だ。
そこを守りに来た相手ディフェンスの重心を見て、緩急を使った動きに切れ味鋭いフェイントは、ディフェンスの間を割るのに非常に効果的である。
フィジカルとアジリティーの強化
また、小さい選手はフィジカルトレーニングにも力を入れるべきである。全身の筋力を増やし、大きい選手に負けないフィジカルを手に入れれば、身体接触されても対応できるようになる。
もちろん、ただパワーをつけるだけでなく、アジリティー、すなわち身体の素早い動きをコントロールする能力を高めることも、プレーの質を向上させるためには必要だ。具体的には上半身の強化にはプランクが有効だ。下半身の強化にはスクワットを取り入れ、アジリティー強化にはラダートレーニングを入れると最適だろう。
身長の低いハンドボールゴールキーパーのキーピング戦略
コートプレイヤーだけでなく、ハンドボールのゴールキーパーも身長が低いと一般的に不利とされている。しかし、ゴールキーパーも適切な技術と戦略を駆使することで、身長を補い、活躍することが可能だ。
身長がゴールキーパーに及ぼす影響
一般的に、ゴールキーパーには長身が望まれる。なぜなら、長身に加え長い手足からゴールエリアの広範囲をカバーするのに役立ち、シュートのセービングや位置取りに非常に有利な面を持つからだ。
しかし、身長が低いゴールキーパーは、ゴールエリアを守るには身体の面だけではカバーしきれないため瞬発性が重要となってくる。
体格は大きい方が有利だが、低身長でもセーブは可能
低身長のゴールキーパーは、瞬発性を生かすことができればどんなシュートも止めることができるだろう。また最後までシュートの出どころをみて反射しなければいけないので、全身の安定さも求められる。
これらのスキルや身体を鍛えることにより、どんなシュートにも立ち向かうことが可能となるだろう。また、良い位置取りとディフェンスと連携することも、身長の不利を克服するために極めて重要だ。
具体的なトレーニング方法としては、フィジカルとアジリティー強化で記載した方法に加え、壁に背を向け、テニスボールをパートナーに投げてもらい、それをセービングすることによって、反射神経が鍛えられる。
また、キーパーの構えは常に手をあげることで、高めのシュートを少しでもアクションを減らして取ることが試合で活躍する鍵となる。
身長の低いGKが直面するメリットとデメリット
身長の低いゴールキーパーは、一見するとハンドボールで不利に思えるかもしれないが、実際には特有のメリットも多く存在する。柔軟性と瞬時の判断力を生かすことで、ゲームにおいて重要な役割を果たすことができる。
柔軟性と瞬時の判断力がメリットとして機能することが大事
身長が低い選手は体が小さい分、大きい選手に比べて、柔軟性、瞬発性が優れてなければならない。タイミングを外されたシュートに対しても迅速に反応し、見事なセーブを見せることも可能だ。
また、ディフェンスとの連携も必要となってくるので、状況をすばやく把握し、適切な判断を指示する能力も、大きな強みとして持っていくといい。
上角への対応の困難さとその対処法
しかし、身長が低いと高めのシュートに対するリーチが短くなるため、これをカバーするためにはトレーニングが必要になる。位置取りの工夫や、ジャンプ力を高めるトレーニングが効果的である。これにより、高めのシュートを防ぐ確率が上がるようになる。
ジャンプ力を鍛えるには、もも上げジャンプや手足を広げながらジャンプする大の字ジャンプでジャンプ力アップを図ろう。
跳ぶ方向とタイミングの調整
また、どの方向へどのタイミングで跳ぶかは、ゴールキーパーにとって最も重要なスキルの一つである。特に身長が低い選手は、タイミングの正確さが求められ、この技術を磨くことで、身長のハンディキャップを克服することが可能となる。
タイミングの見極めは、シュートが放たれるまで最後までボールを見ることが重要だ。特にノーマークの場面ではシュートが放たれる前に先に動いてはならない。
実践的な位置取りとシュートの止め方
ハンドボールのゴールキーパーにとって、正確な位置取りでシュートを打つコースを限定させることはキーピングの鍵となる。特に、身長が低いゴールキーパーは、正確な位置取りを取ることがさらに重要となってくる。
キーパーの位置取り:ボールに合わせて動くコツ
ゴールキーパーは、シュートがどこから放たれるかを予測し、それに応じて最適な位置に移動する必要がある。
さらにディフェンスと連携することによって、シュートコースを限定させ、セーブの確率を高める。身長が低いキーパーは、下半身のアジリティーを鍛え、フットワークで素早く広範囲をカバーできるようにすることが推奨される。
例えば、ポストシュートやサイドシュートなどノーマークシュートが生まれやすいシュート場面において、受け身になるのでなく、シュートを放たれるタイミングで瞬間的に思い切って前に位置取ってみよう。
そうすれば勢いよく放たれたシュートに対しては高めのコースを上体でカバーしつつ、低めのコースはなくなるのでシューターに対して攻めの姿勢で駆け引きすることが大事だ。
ただ、ループシュートやスピンシュートなどタイミングが外されるシュートには注意が必要なので、頭に入れたうえでシューターと駆け引きをしていこう。
シュートコースを狭める方法
シュートコースを狭める技術は、ゴールに向かうボールの進路を限定することで、ゴールキーパーがセーブしやすくする方法だ。具体的には、キーパーはシューターの体勢などよく見て、効果的にゴールエリアをカバーすることが求められる。
この技術を取得することでシューターとの駆け引きが可能となり、キーパーがシューターに対して、積極的に仕掛けていくこともできるようになる。
以上から、常に試合を想定してトレーニングを積むことで、身長の低いゴールキーパーもまた、効果的な位置取りとシュートの止め方を身に付け、試合で大きな差をつけることが可能であることが結論づけられる。
ハンドボールの世界で小さい選手が大きな選手に勝つためには、身体的な特徴を最大限に活用し、継続的なトレーニングを行うことが重要である。
この記事を通じて、小さい選手が直面する困難とそれを克服するための具体的な戦略について解説してきた。
- 【小さい選手は敏速性を活かせる】:小さな体格は、速度と機動性で大きな選手に対抗できる。
- 【フィジカルの強化がカギを握る】:筋力と瞬発性の向上により、フィジカルのハンデを補う。
- 【ポジショニングと技術が成功を左右する】:正確な位置取りとディフェンスとの連携で、キーピングの成功確率を高める。
これらの点を理解し、日々のトレーニングに活かしていけば、小さい選手でもハンドボールのフィールドで大きく活躍することが可能だ。今後の練習では、これらの要素を重点的に取り組み、自己のスキルを磨いていくことが求められる。
まとめ
小さい選手がハンドボールで成功するためには、自分の体格を理解し、それを最大限に活用する戦略を立てることが不可欠である。
これにより、どんなに体が小さくても、その潜在能力を完全に引き出し、ゲームでの大きな違いを生むことができるだろう。