ハンドボールのオフェンスで1対1に自信がない、ディフェンスに捕まるといった悩みに直面している中学生や高校生の学生ハンドボーラーは必見。 1対1を制するのはキレのあるフェイントだけではない。1対1のリズムとタイミングが重要となってくるのだ。この記事を通して、ハンドボールプレイヤーは以下の三つの重要な内容を得ることができるだろう

  1. 効果的なリズムトレーニングの技術と実践方法
  2. ゲーム中におけるバランスと反応速度の向上
  3. フェイント技術とタイミングの変換技術

この記事は、学生時代に国体選手の経験を持ち、ハンドボール歴20年の筆者の経験から事実に裏打ちされている。
この記事を読んで日々のトレーニングに励めば、1対1のオフェンスでタイミングを変えることによって様々な攻撃バリエーションが身につくことができるだろう。




コーディネーショントレーニング

シュートやフェイントといったハンドボールのオフェンスで重要なのはタイミングである。ディフェンスが守りづらいオフェンスとは一定のタイミングで攻めないこと。ディフェンスとのタイミングをずらすにはリズム感、バランス、反応速度の向上から始まる。
これらのコーディネーションスキルは試合での成果を左右し、プレイヤーが試合中に最大限の効果を発揮するためには欠かせない要素である。

リズム能力とタイミングの練習

音楽を活用したトレーニングは、プレイヤーに正確なリズム感とタイミングを養成させる。このトレーニングでは、定められたリズムに合わせてボールを扱うドリルが含まれる。これにより、プレイヤーは自然とリズムを感じ取り、試合中の動きにリズムを取り入れやすくなる。

身体の使い方が上手くなるリズムトレーニング

マリオネットと呼ばれるトレーニングでウォームアップから始めよう。
具体的には以下の手順で行うことだ。

  1. 腕を「頭→肩→クロス→肩」の順に4拍子で動かす。
  2. 次に足を「閉じる→開く」の2拍子で動かす。
  3. 1と2を組み合わせて行う

このトレーニングを行うことで、プレイヤーは身体をひねって投げてから足がくる投げる動作を無意識にやっていることが多くみられるが、意識的に身体を使うことで全身に力が伝わる投げ方が身につくようになるだろう。

また、慣れてきたら1の4拍子のリズムに変化をいれることで、ハンドボールの試合中、相手に合わせてタイミングの変化の仕方が身体に身につき、守りづらい厄介なプレイヤーとして一目置かれることになる。

バランス能力と安定性の向上

ハンドボールは「走る・投げる・跳ぶ」と高い身体的能力が求められるスポーツであるため、バランスと安定性は必須のスキルである。
体重移動のトレーニングを通じて、プレイヤーはゲーム中の急な動きや方向転換にも対応できるようになる。

体重移動とバランスの取り方

体重移動の練習には、リズムジャンプトレーニングに挑戦してみよう。
具体的なトレーニング方法は以下になる。

  1. 真ん中にラインを引き、左側に立ち、ラインを超えるようにサイドジャンプで同じリズムを刻みながら跳ぶこと
  2. 次もラインを超えながら同じように進んでいくが、進み方は前後ジャンプで行う
  3. 次は「ランジ」の動作を取り入れてジャンプする。「ランジ」とは腕と脚を交互に動かす動作のことである
  4. 次は脚を「開く→クロス」を交互に動かす。さらに同時に上半身の動きも加える。脚が「パー」と開いているときは脚をクロスさせる。脚がクロスの時は腕を横に伸ばす

これらのトレーニングを行うことによって、意識的に上半身と下半身の動きが連結することができるようになるので、体重移動がスムーズに動かせ、重心のバランスが良くなることが期待できるのだ。

反応速度と敏捷性

試合展開の速さに対応するためには、高い反応速度と敏捷性が求められる。プレイヤーは状況に応じて速さのタイミングを変化させることができるよう、ボールを使ってリズムトレーニングを行う。

反応速度のトレーニング

先ほどのリズムジャンプトレーニングの応用で以下に手順を記載する。

  1. サイドジャンプでジャンプした方向とは逆の手でボールを横に出す。真ん中に着地した時は、ボールはキャッチの状態
  2. 同じくサイドジャンプで横に行ったら身体をラインの背中に向ける。そこでシュートフォームの構えをする。真ん中は1と一緒の構え

このトレーニングは頭で考えると同時に身体も動かすことになるため、身体の中にある反射神経が鍛えられ、試合中のスタートダッシュが速く切れるなどの効果が期待できる。

敏捷性のトレーニング

同じくリズムジャンプトレーニングの応用で今度は2人1組になって以下に手順を記載する。

  1. 1人は3回サイドジャンプする。もう1人は進路方向に立って、3のカウントの時にどちらかにボールを横に放る。サイドジャンプしたプレイヤーは地面に落とさず、投げられたボールをダッシュして取りに行く
  2. 1人は半回転ジャンプを2回する。もう1人は半回転ジャンプしたプレイヤーが正面に戻ってきたときにボールを放る。後は1と同じくボールを地面に落とさずにダッシュしてボールを取りに行く

ボールがどこに落下するかを動きながら予測、把握することで常にスタートが切れる準備が身体に身についてくるだろう。
ハンドボールにおいて、試合中の予測できることは重要なスキルになってくるため、これらのトレーニングで周りと差をつけよう。




フェイントトレーニング

フェイントトレーニングは、ハンドボールのスキル向上において中心的な役割を果たし、試合中にディフェンスをかわし、得点のチャンスを作るために不可欠である。
以下では、フェイントの基本的な動き方、ディフェンスにフェイントをかける際の具体的なテクニックを解説する。

フェイントの基本的な動き方

フェイントは、守りに来た相手ディフェンスを抜くために行われるプレーであり、ボールをもらう前の動きがとても重要となってくる。
さらに、フェイントの効果を最大限にするには、体の動き、視線の方向、そして足の動きを意識的にコントロールする必要がある。

効果的なフェイントの動作パターン

フェイントを効果的に行うためには、まず相手の注意を引くために大げさな身体動作を行うことが重要である。
例えば、シュートをするフリをして実際はパスを出す、またはその逆の動作をすることが挙げられる。これらの動作は相手を混乱させ、本来の意図を隠すことができる。

DFにフェイントをかけるとき

相手ディフェンスにフェイントをかける場合、特に重要なのは2点だ。

  • ボールをもらう前に相手ディフェンスと間合いをとり、半身ずれた状態からボールをもらう
  • 半身ずれた状態で空いているスペースにフェイントをかけ、相手の重心が移動した瞬間に逆方向へ切り替えること。

上記2点を試合中に頭の中で常に意識しておくことで身体のキレがなくてもタイミング次第で簡単に1対1でディフェンスを抜き去ることができるだろう。

上半身、頭、下半身の動き方を身につけよう

フェイントの際に、ただ空いたスペースを攻め始めるだけでなく、本来攻めたい場所を狙うためには、上半身や頭を使って相手の視線を誘導し、実際の動きとは異なる方向への動きを示唆することが効果的である。
下半身の動き、特に足のステップは、実際の動きをサポートするために同時にコントロールする必要がある。
先ほど記述したリズムトレーニングを実践し、頭、上半身、下半身を連動させた上手な身体の使い方をマスターしよう。

フェイントからシュートまでの流れ

フェイントで相手を抜き去った後は、素早くシュートに持ち込もう。
この流れをスムーズに行うには、フェイントの動作中にもシュートに必要な体の位置とバランスを保つことが重要である。
フェイントで相手を抜いた瞬間、隣のディフェンスが即カバーしにきたら、そのディフェンスがマークしていた味方にパスをして、シュートチャンスを演出することも頭に入れておこう。
フェイントで抜いてシュートだけでなく、パスもさばける選手ほど相手は守りづらい。シュートかパスかの判断力も試合形式のトレーニングで養っていくことが大切である。

このように、リズムトレーニングの応用からフェイントトレーニングを行うことで、身体の使い方やタイミングの変化によってプレイヤーは相手ディフェンスを簡単に抜き去ることが可能になる。
また、1対1を極めれば試合での多様な状況に対応する能力を高めることができる。定期的なトレーニングでこれらのテクニックを身につけ、実践することで周りと差をつけられるようになるだろう。




トレーニングセッションの構築

トレーニングセッションの効果的な構築は、ハンドボールプレイヤーが試合で最高のパフォーマンスを発揮するために必要不可欠である。ここでは、日々のトレーニングの計画と怪我の防止と体のケアに焦点を当てる。

日々トレーニング計画

トレーニングの計画はプレイヤーの体力と技術向上に直接影響を与える。
トレーニングの頻度と強度は、選手の体調、試合や大会までのスケジュールに適応させる必要がある。

練習の頻度と強度のバランス

効果的なトレーニングプログラムでは、練習の頻度と強度が適切にバランスされている。例えば、週に2日はリズムトレーニングや筋力トレーニング、インターバル走などのサーキットトレーニングで身体強化につとめ、週4日はハンドボールを使った技術練習や戦術学習に重点を置き、週に1日はオフの日を作る。
バランスが取れたトレーニングスケジュールで、過度な疲労を避けつつ、スキルや体力の向上を図る。

怪我の防止と体のケア

怪我の防止はトレーニング計画において最も重要な要素の一つである。
練習前のウォームアップとクールダウンは念入りに必ず取り入れよう。怪我のリスクを減少させるだけでなく、パフォーマンスの向上にも繋がっていく。

適切なウォームアップとクールダウンの方法

ウォームアップには、筋肉を温め、血流を増加させるリズムトレーニングのマリアネットのような軽い運動と、動的ストレッチングが含まれることが理想だ。
一方、クールダウンには静的ストレッチングや軽いジョギングを含めることで、筋肉のリカバリーを助け、次回のトレーニングへの備えを整える。

このように計画されたトレーニングは、ハンドボールプレイヤーが体力と技術の両面で成長し続けることを保証する。
日々の練習の適切な管理と怪我の予防措置を講じることで、プレイヤーは健康的にハンドボールを楽しむことができ、スキルを継続的に向上させることができる。




まとめ

この記事では、ハンドボールプレイヤーがリズムトレーニングを通じて1対1の状況で優位に立つための方法を詳細に解説した。コーディネーショントレーニング、フェイントトレーニング、そして日常のトレーニングの構築に焦点を当て、各トレーニングの重要性とその実施方法を紹介。
以下は、この記事の重要なポイントとなる。

  1. リズム能力とタイミングの練習
    マリオネットと呼ばれるリズムトレーニングが効果的だ。
    マリオネットで、身体全身の使い方がスムーズに使えるようになり、全身から力が伝わるようにボールを投げられ、プレーの質が向上する。
  2. バランス能力と安定性の向上
    リズムジャンプトレーニングで体重移動とバランスの取り方をマスターすることにより、プレー中の安定性が向上することができる。接触が多いプレー中でも質を落とさずにパスやシュートを正確に投げられるようになるだろう。
  3. 反応速度と敏捷性の鍛錬
    リズムジャンプトレーニングを応用するトレーニングを行うことで、攻守の切り替えやスタートダッシュなどの素早い判断と動作が求められる状況でのパフォーマンスが向上する。
  4. フェイントの基本的な動き方
    効果的なフェイントをかけるにはボールをもらう前から相手ディフェンスの半身にずれた位置にいること。フェイントからシュートへの流れをスムーズにすることで、得点の機会を増やすことができる。
  5. トレーニングセッションの構築
    日々のトレーニングの計画と怪我の防止のための体のケアは、持続可能なパフォーマンス向上のために不可欠だ。適切なウォームアップとクールダウンは、効果的なトレーニングの基本となる。

トレーニングを継続的に実施することで、これらのスキルを発展させ、試合での1対1の状況においても冷静かつ効果的に対応することが可能となる。
毎日の練習を通じて学んだ技術を磨き、ハンドボールのプレーを次のレベルへと引き上げていこう。