「ロブが奥まで飛ばせない」
「ロブの軌道が安定しない」
バドミントンを始めたばかりのプレーヤーなら、誰しも直面する悩みだろう。
ロブが思い通りに打てないのには、必ず原因があるものだ。
このコラムではロブが奥に飛ばせない理由やきれいに打つためのコツをご紹介する。
筆者は20年以上の競技経験があり、全国大会の出場経験もある。もちろんバドミントンを始めた中学生の頃はロブをしっかりと飛ばせなかったが、今では武器の一つとなっている。
今回の内容をロブが少しでも上達するための参考にして、一層バドミントンを楽しんでほしい。
そもそも「ロブ」とは
ロブとは主にコート前方から、胸より低い位置でシャトルヒットし、相手のコートの後方に飛ばすショットである。ロビングと呼ぶこともあるだろう。
ロブは大きく以下の3種類に分けられる。
- ノーマルロブ:相手の頭上を越すように打ち上げるショット
- ハイロブ:ノーマルロブよりも高く打ち上げて体勢を立て直す時間を作るための守備的ショット
- アタックロブ:ノーマルロブよりも低く直線的な弾道で相手の体勢を崩すための攻撃的ショット
アタックロブは通常のロブよりも高い位置で打つことが多い。そのぶん素早いフットワークが求められるため、やや上級者向けといえるだろう。
今回打ち方をご紹介するのは、初級者でも身に付けたいノーマルロブとハイロブだ。この2つのショットが打てるだけでも、ラリーが長続きするようになるので、ぜひ習得してほしい。
ロブが奥まで飛ばせない5つの原因
ロブが奥まで飛ばせない原因を5つ解説する。
ロブを奥まで飛ばすには、何よりもスイングの勢いをスムーズにシャトルに伝えることが大切だ。
以降で紹介するのは、上手にシャトルへ力を伝えられない主な原因となっている。該当するものがないか、ぜひ確かめてほしい。
原因1|リストが寝ている
ロブが奥まで飛ばせない原因の1つ目は、「リストが寝ている」ことである。前腕とラケットが一直線になっている状態を、よく「リストが寝ている」と表現する。
リストを寝かすと、より遠くのシャトルに届くものの、手首が窮屈な方向に曲がるため、シャトルにスイングの力が伝わりづらくなる。
ロビングを打つときには、「リストを立てる」ように意識してほしい。「リストを立てる」というのは、前腕とラケットが100〜120度くらいの角度になっている状態を指す。
手首の角度が自然な状態に近づくため、スイングの力がシャトルに伝わりやすくなる。また、リストを立てるとシャトルに届く距離がやや短くなるため、しっかりと脚を動かしてシャトルにアプローチすることが大切だ。
原因2|足が浮いている
ロブを打つとき、前に出す足が床から浮いていないか注意が必要だ。足が浮いていると下半身で上体を支えられず、スイングがブレてしまう。
しっかりと踏み込んでからヒットすると、下半身の力もシャトルに伝わるので、飛距離がでやすい。
「踏み込む→打つ」というように、頭の中で唱えながら打つのがおすすめだ。リズムよく打てるので、力だけに頼らないロブが可能になる。
原因3|肘の角度が安定しない
ヒットする際の肘の角度が安定しないことも、ロブが奥まで飛ばない原因である。毎回、肘の角度が変わってしまえば、その度に違うスイングをすることになる。これでは、仮に奥までロブが飛ばせたとしても、もう一度そのスイングを再現できない。
特に肘が曲がり過ぎていると、思い切ったスイングができなくなるので、シャトルに力が伝わりづらくなるので注意しよう。
握手するときくらいの肘の角度が、ラケットに力を込めやすいので試してほしい。その上で、インパクトの瞬間は常に肘の角度が一定になるように心掛けると、上手くロビングできたときのスイングが再現しやすいはずだ。
原因4|体の後ろからスイングしている
自分の顔より後ろからロブのスイングが始まっていないか注意しよう。初心者のうちは、なるべく大きくスイングして、奥に飛ばそうとしがちだ。
ただし、自分の視界の外からスイングし始めると、ラケットとシャトルの距離感が掴みづらい。シャトルとの距離が近くなり過ぎたり、思っていたよりも遠かったりするので、上手く力が伝わらないロブになってしまう。
ロブを打つ際は、自分の視界に収まる範囲内で、肩から先でスイングしよう。目の前でラケットの先が弧を描くようにイメージするのがおすすめだ。シャトルを下からすくい上げられるので、深くて山なりのロブを打ちやすくなるだろう。
原因5|身体の正面でヒットしていない
ロブが奥まで飛ばせない原因の5つ目は、身体の正面でヒットしていないことだ。例えば、右利きの場合、脇が開いて体の正面よりも右側でヒットしてしまうと、床と並行の横スイングになりがちだ。
横振りでは、ロブを飛ばしたい上方向と異なる向きにスイングするため、高く・深く打ち上げることが難しくなる。
踏み込んだと木、膝とつま先の延長上で下から拾い上げるようにヒットしよう。前に踏み込んだ推進力もシャトルに伝わるため、ロブに飛距離がでやすくなる。
ロブをきれいに飛ばす5つのコツ
ここからは、ロブを安定したきれいなショットにするためのコツを5つご紹介する。
飛ばない5つの原因と合わせて参考にすると、よりロブの上達につながるので、確認してほしい。
コツ1|ラケットを最初から前にセットしておく
ロブをきれいに飛ばすためにも、ラケットを最初から前にセットしてほしい。ロブを打つときに前方へ動き出すと思うが、動き出しとスイングを同時に始めてはいけない。
まず、前方に動き出すと同時に、ラケットを前へ差し出してほしい。その後、適度にシャトルに近づいたらロブのスイングを開始しよう。
あらかじめラケットを前方に構えることで、「どれくらい前に行けばラケットとシャトルとの距離感が適度になるか」が判断しやすくなるので、安定したロビングにつながる。
コツ2|しっかりフォロースルーをする
しっかりフォロースルーをすることも、ロブをきれいに飛ばすために重要だ。フォロースルーとは、インパクト後にしっかりとラケットを振り切る動作である。
シャトルがラケット面に当たった直後、むやみにスイングを止めてしまうと、腕全体が力んでしまう。力みがシャトルに伝わると、制球が定まらない。
インパクトの後も力強くラケットを振り切ることで、安定した軌道を描くロビングが可能だ。なお、シャトルを飛ばしたい方向にフォロースルーすると良いだろう。ストレートなら正面方向に、クロスなら斜め方向に振り切るとコントロールしやすいのでおすすめだ。
コツ3|踏み込みの勢いを利用する
ロブをきれいに飛ばすためにも、踏み込みの勢いを利用するようにしよう。腕だけに頼って遠くに飛ばそうとすると、力みが生じロブのコントロールが難しくなる。
前方に踏み込んだ際の「グッ」という感覚を利用するのが大切である。「グッ」と踏み込んだ力を下半身→上体→肩→腕→ラケットという順番で伝えると、身体全体を使ったロビングになる。腕力のみに頼らず、よりリラックスした状態でヒットできるので、安定したロブにつながる。
このコツは、力に自信のないジュニアやレディースプレーヤーにぜひ試してほしい。
コツ4|フォアとバック側で握りを変える
フォア側とバック側でラケットの握りを変えることも、ロブを打つときに意識したい点だ。フォア側であれば、オーバーヘッドストローク(頭上でシャトルを捉える打ち方)と同じ握り方でも問題ないだろう。
ただし、フォア側の握りのまま、バック側のシャトルをロビングしてしまうと、スイングの力を伝えづらい。バック側のシャトルを打つなら、親指を立ててグリップに真っ直ぐ添わせるようにしよう。
この握り方は「サムアップ」ともいう。インパクトの瞬間、親指の力をシャトルに伝えやすいことが特徴だ。
バック側のシャトルをロビングするなら、グリップの握りをサムアップ状態にして、親指で押し込むようにして打つとロビングの軌道が安定する。
コツ5|ラケットを持たない手でバランスをとる
ロブをきれいに飛ばすための5つ目のコツとして、ラケットを持たない手でバランスをとるようにしよう。
右手でロブを打つとき、ラケットを持つ手は前方に伸ばすと思うが、もう片方の左手がただぶら下がるようになると左右がアンバランスになる。これでは体制を崩しやすく、ロブの軌道も安定しない。
右手を前に差し出したら、左手は後方に伸ばして、体のバランスを保つようにしよう。上体が横や前に倒れづらくなるため、安定したロブを打ちやすくなる。
フェンシングの踏み込みシーンをイメージすると、きれいなフォームに近づくのでおすすめだ。
[removed][removed]【フェンシング】女子フルーレ グランプリ 韓国大会(2003 Mar19 Sun)で東晟良選手が銀メダル獲得!2018年ワールドカップ アルジェリ大会以来、5年ぶり2回目のメダル獲得メダルとなりました!??おめでとうございます? pic.twitter.com/IBeMF6jQTl
— 日本フェンシング協会【公式】 (@FJE_fencing) March 21, 2023
まとめ
今回はロブが奥に飛ばせない理由やきれいに打つためのコツをご紹介した。
バドミントンは常にスマッシュで攻め続けられる競技ではない。しぶとく守って、攻撃の機会をうかがう必要がある。
それだけに守備の要となるロビングは非常に重要だ。今回ご紹介した内容を参考に、バドミントンのレベルアップに役立ててほしい。