地方のスケートパークでよく見る光景。

カーブやバンクtoバンクを攻めまくるローカルたちの雰囲気に呑まれて、端の方で呆然と眺める少年たち。初めてパークに来た20歳前後の子たちの多くは、完成度の低いフリップを武器にパークにやってくる。フリップは突き詰めれば確かに見応えのあるトリックだ。

しかしフリップ1つでスケートパークで自信を持って滑れるほどスケボーは簡単じゃない。その子たちと話して驚愕したことがある。オーリー、フリップ、トレフリップの順番で練習していると言うのだ。これではスケボーの面白さに気づく前に飽きてしまうし、せっかくパークに来ている意味がない。

スケートパークの攻略に欠かせない180

単純に回し技は応用が効きづらい。スケートで1番幹になる部分はオーリーと言われるが実際はそうでもない。オーリーでセットコーンぐらいは飛べることを最低条件にすると、フロント180とバックサイド180が安定してでき、マニュアル台ぐらいの高さに180で乗ることができればスケートパークでも自信を持って練習できるだろう。

180だけで両サイドのボードスライド、50がメイクできる。180はできるけど、ボードスライドが怖い、詰まってしまう。そんな人はまずはボックスでボードスライドをメイクすることを勧める。

レールではかけた先が宙だから怖いが、ボックスであれば止まって練習することもできる。掛けることさえできれば、後は徐々に角度とスピードをつけていくだけだ。大切なのはカーブに掛ける際、真横にかけすぎないこと。スライドさせる力をどこに加えるか。練習を続けていると次第に板がスライドしている感覚を掴むはずだ。後は完全に恐怖心がなくなるまで繰り返し打ち続け、アウトさえうまくできれば…!というところまで行き着く。

ここまで来たら後は簡単で、180で捻っていた肩をタイミングに合わせて戻せばいい。ボードスライドはスケボーの総合的な恐怖心をとることにも役立つ。スケボーを少しやってみた頃の自分では鉄のレールを滑っていくなんて考えもしなかっただろう。カーブへの恐怖心が消え、スケートパークにあるセクション1つ1つに簡単な技から入ってみたいと思えるはずだ。

180はスケボーでの身体の使い方を覚えるのに非常に有効だ。小さなものを180で越えようとする時、対象のものをとらえつつ、肩を先に開いてテールヒットさせ、下半身のひねりだけで板を持っていく。50やボードスライドでカーブに入るときも、対象のものがカーブに変わっただけで、90ひねるだけと簡単に考えればいい。50とボードスライドの先にはフリップとは比べ物にならない量の応用技が存在する。5-o、スミス、リップ、フィーブルグラインド等、数えきれない。これはフラットレールやカーブだけでなく、ランプやフラットトリックにも活きてくる。

真横ではなく 少し先の方に掛けることで進行方向に力が加わる

回し技との複合にも役に立つ。

例えばバックサイドビッグスピンはいい例である。ポップショービットにバックサイド180の動きをつけるこのトリックは、実際バックサイド180の要素が9割を占めると考えている。

バックサイド180が綺麗なスケーターは目線が違う。まず肩を開きつつテールヒットさせノーズを持ち上げるまでは想像がつく。ここで見るべき方向はテールなのだ。ピークのタイミングでテールをしっかりと見ていると自然に肩がしっかりと開き、そのままテールの足をドライブさせることができる。ドライブが嫌いな人もテールをしっかりと見つつ、そのままテール足を送ればいい。

バックサイドビッグスピンをポップショービットを力強く打って360度回し、そこに身体を捻る。これはメイクまでの遠まりだと考える。バックサイド180を打つつもりでテールヒットさせたら、テール足とノーズ足が板の回転の邪魔にならないように持ち上げて見てほしい。力加減と肩の開き方が正しければ間違いなく360度回るはずだ。

では、どうやって乗るのか。これもバックサイド180とほぼ同じなのだ。まず回転している板の真上に自分がいる位置をとり目線を回転している板と板越しのテール足をとらえる。

この後は練習が必要だが、270度のエアキャッチで板を捉えてそのままバックサイド180と同じ要領でテール足を送る。

このやり方でメイクできればメイクまでの近道だけでなく、エアキャッチで完成度の高いビッグスピンをメイクできる。他にもバックサイドフリップやヒールにも挑戦するとき、このやり方を覚えておくとメイクまでの近道になるだろう。

回し技との複合にも役に立つ。

使える場所は様々。いくらでも応用が効くのが180。

180を含む回し技というのは実はフラットでやるよりも、パークにあるフラットバンクでメイクする方が楽な場合が多くある。

フラットでバックフリップをするとフェイキーで着地することになるが、フラットバンクであればメインスタンスで着地することになる。これらは返バンクと呼ばれる使い方で、大きなフラットバンクで回しているスケーターには間違いなくパークの人間の目がいき、メイクすれば賞賛の声があがる。このように基礎である180、回し技との複合である180はスケートパークで使う場面も多く、ダイナミックで最高に見栄えがする技だ。

今、フラットでフリップを練習している方へ聞きたい。フラットで完成度の低いフリップをするだけのスケートと、スケートパークで自信を持って練習して多くの仲間と出会うスケートどちらがいいだろうか?

使える場所は様々。いくらでも応用が効くのが180。