卓球とは

2021年、東京オリンピック。卓球。
水谷隼と伊藤美誠の混合ダブルスが世界一に輝いた。
彼らは速いラリーに打ち勝ち一つの勝利をもぎ取った。
しかし、「速いドライブが打てる=勝てる」というわけではない。
選手一人一人に持ち味があり、それを武器に戦っているのだ。

この記事では戦型(プレースタイル)をメインに考察していく。

切っても切り離せない存在「戦型」

まず、戦型は細かく見るときりがないが、大きく分けて3種類ある。
ドライブ型、カット型、異質型だ。

ドライブ型はボールに上回転(トップスピン)をかける攻撃力重視の戦型で、
ドライブやブロックを駆使し相手からポイントを取る。
最も一般的な形であり、テレビなどで見る卓球はほとんどがこれだろう。

カット型はボールに下回転をかける守備型の戦型だ。
相手のドライブをゆるいバックスピンで打ち返し体力を削りつつポイントを取る。
粘り強いので対戦相手から見たらとても厄介になる。

異質型はボールに様々な回転をかけて相手の裏をかきミスを誘う。
異質型が対戦相手になると、自分のプレーをさせてもらえずこれも厄介になる。

「結局どれがいいのか。」と思う方がいらっしゃると思うが、
どの戦型もメリット・デメリットがあり特に優劣はなくどれもやりこんだ分だけ上手くなれるのだ。
私事にはなるが、私はカット型としてプレーしてきて異質型の選手とは戦いたくなかった。
前後左右に振り回され体力も奪われていく。

もともと受け身のプレースタイルではあるが、さらにどうしようもなくなる。
試合の度に対戦相手がドライブ型であることを願っていた。
私と同じように思った方は少なからずいるだろう。

次に戦型の歴史について述べていく。
まず、卓球の起源は19世紀イギリス、雨でテニスが出来ずに
「室内でできることはないか」と考えた末、発祥された。
しかし、当時はネットが高かったり、コートが小さかったりと
今のルールとは全く違い強打を打つことが出来ずその影響もあり
長きにわたってカット型が主流になっていた。

しかし、20世紀になって、ルールが改正され
カットマンは息をひそめるようになった。
そこで台頭してきたのが、前陣速攻型の戦型だ。
その背景となったのが前述したネットの高さである。
道理は簡単である。相手コートに入れやすくなったことによる、攻撃意欲の高さである。

しかし卓球が世界に知れ渡りだした近年、よく目にするのがドライブ型だ。
少しのミスが勝敗に関与してくる現代卓球ではリスクを負うことが致命的である。
それを最小限に抑えた結果だろう。
こうしてプレイヤーは時代やルールに翻弄されながら歩んできた。

年代による戦型の傾向はあるか

そこで、年代ごとにそれぞれどのような戦型の差があるのか調査を行った。
有効投票と割合を述べる。(四捨五入により合計が100%にならないことがある。)

年代 有効投票 ドライブ型 カット型 異質型
10代 83 80.7% 10.8% 8.4%
20代 66 72.7% 15.1% 12.1%
30代 55 72.7% 10.9% 16.3%
40代 59 66.1% 20.3% 13.5%
40代 59 66.1% 20.3% 13.5%
50代~ 48 62.5% 12.5% 25.0%

ご覧の通り標本調査であり、実際の結果とは多少異なる。

この結果をもとに考察していく。
まず10代、この年代は卓球を始めたばかりの方が多い。
特に中高生で彼らは一番オーソドックスなドライブ型から入るだろう。
その点ドライブ型の割合が多くなっていると考えられる。

次に、20,30代、この世代は中国式ペンホルダーが流行りだしてきた時代だろう。
今までは日本式ペンと言われているラケットでグリップの形が異なる。
そのペンホルダーのラケットに粒高ラバーを貼る人が増えたからと考えられる。

40代や50代はカット型の松下浩二が一躍有名になった世代である。
その影響があるのかカット型の割合が多くなっている。
全体で見ても特に差はなく、ドライブ型が多数派という結果となった。
やはり扱いやすく自由度の高いドライブ型はたくさんの人が選択する。

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無限大なプレースタイル

戦型の大枠は前述したが、ここでは詳しく解説する。まずはドライブ型だ。
一概に「ドライブ型」と括っているが、その中でもたくさんの種類がある。
今回は前陣ドライブ型、中陣ドライブ型、前陣速攻型について述べようと思う。

前陣ドライブ型はその名の通り台に近い場所でプレーをする。
ドライブ型の中でも特に攻撃的であり、基本的には自分から攻撃を仕掛けに行く。
特に尖りのない戦型である。

つぎに中陣ドライブ型だ。
台から少し離れたところで上回転をかけにいく。
この戦型のメリットとしてやや後ろにいるため
相手が打ってから自分が打つまでに時間があることだ。
その恩恵で自分のミスは少なくなる。

ただ、その分相手も同じ状況で長いラリー戦になりやすい。
爽快なドライブやスマッシュを決めたい方にはお勧めしない。

そして前陣速攻型、この戦型はカウンターを主にしてプレーをする。
自分からは仕掛けに行かずに相手にドライブを打ってもらってからカウンターをする。
トリッキーな戦いぶりで見る側からも気持ちがよいだろう。

トッププレイヤーでは丹羽孝希選手がその一例である。
欠点としてはリスクが大きくミスにつながりやすい。
「あっけなく負けていた」なんてこともあるだろう。
続いてカット型についてだ。この戦型で重要なことは“とにかく粘る”これに尽きると思う。

そもそもこの戦型の目的は相手のミスを誘うことであり
自分がミスしてしまったら何の強みも発揮されず本末転倒である。
ただ、レベルが上がるとただ粘るだけでは勝つのは難しい。
回転の変化や、攻撃も交えながら戦うとミスを誘いやすくなる。
この駆け引きが卓球の面白いところでもある。

最後に異質型についてだ。この戦型はとにかく“相手を混乱させること”を意識する。
異質なラバーで相手の逆を突き、チャンスボールを確実に決めきる。
ボールを受ける側からするととても厄介である。

ただ、相手にも挽回の余地があり、こちらも前後左右にゆさぶりをかけて浮いてくるボールを待つ。
異質型はフットワークがあまり強くなく先手を取ることができれば優位に展開できる。

ここまで戦型について述べてきたが一つに絞らなくてはならないわけではなく、自由である。
自分がやってみたいと思う戦型や合っている戦型を見つけ、アレンジしていくといい。

まとめ

今回は主に戦型を中心に考察してきた。
やはり流行は少なくともプレースタイルに影響していることが分かった。
戦型というものは「個性」であり自分自身で試行錯誤しながら、完成させるものである。
ぜひ、卓球の奥深さを感じてみてほしい。

参照 笹川スポーツ財団(https://www.ssf.or.jp/ssf_eyes/dictionary/pingpong.html