バドミントン初心者から中級者にレベルアップしていく中で、多くの方が突き当たる壁がある。
それは「シャトルがうまく飛ばない」「ラケットに上手く力を乗せられない」問題だ。
間違ったフォームで練習し続けると中級者からのレベルアップが難しく、さらにケガにもつながる。
今回は、シャトルに効率的に力を伝えられない方へのヒントになりうる「内旋外旋」を紹介する。
世界で活躍している桃田賢斗選手・奈良岡功大選手も取り入れている「内旋外旋」のメカニズムを理解し、プレイヤーとしての更なる進化を目指そう。

内旋外旋とは?

まず「内旋」「外旋」は以下のような腕の動かし方を言うのだ。

  • 内旋…イースタングリップの腕の角度から内側に腕全体を捻る動作
  • 外旋…イースタングリップの腕の角度から外側に腕全体を捻る動作

次の項目から「内旋」「外旋」のメカニズムを詳しく語っていく。

内旋とは?

内旋とは?

内旋とは、イースタングリップの腕の角度からインパクトの瞬間に内側に腕全体を捻る動作だ。
バドミントンのみならず、テニスのサーブ・野球の投手のリリースのタイミングでもよく見られる動作である。
バドミントンの場合、内旋はフォアハンドでのショットで頻繁に利用される。
内旋を使うとクリアはコートの奥まで飛ばせるようになり、スマッシュは今までよりも速く威力のあるショットとなる。

内旋とは、イースタングリップの腕の角度からインパクトの瞬間に内側に腕全体を捻る動作だ。
バドミントンのみならず、テニスのサーブ・野球の投手のリリースのタイミングでもよく見られる動作である。
バドミントンの場合、内旋はフォアハンドでのショットで頻繁に利用される。
内旋を使うとクリアはコートの奥まで飛ばせるようになり、スマッシュは今までよりも速く威力のあるショットとなる。

外旋とは?

外旋とは?

外旋とは、イースタングリップの腕の角度からインパクトの瞬間に外側に腕全体を捻る動作だ。
ゴルフのスイングなどを観察していると、(右利きの場合)インパクトからフォロースルーにかけて左手が外旋していて、他のスポーツでも重要視される動作である。

バドミントンの場合、バックハンドでのショット(主にロブ・スマッシュレシーブ・ハイバック)を打つ際に使用する。
スイング初動の段階ではイースタングリップ(腕全体が内側にも外側に捻りを加えられていないフラット)の状態だ。
しかし、インパクトからフォロースルーの瞬間に外側に腕全体を捻ることにより、内側の筋肉が伸展し、外側の筋肉が収縮する。
つまりインパクトからフォロースルーにかけての動作・力の入れ方は、フォアハンドとバックハンドで正反対なのだ。

フォアハンドに比べてバックハンドの方がシャトルに力を加えづらいため、外旋を覚えられるとハイバックなどの高度なショットも簡単に飛ぶようになる。

内旋外旋を活用したショットを打つメリット

内旋外旋の意味合い・打ち方の次は、内旋外旋を活用したショットを打つメリットを説明する。
内旋外旋のでショットを打つメリットは以下の通りだ。

  • メリット1|シャトルに力が効率的に伝わる
  • メリット2|シャトルに効率的に力を伝えられる

これから解説する内旋外旋でショットを打つメリットの詳細を把握すれば、次の練習から試して習得してみたくなるだろう。

メリット1|シャトルに力が効率的に伝わる

内旋外旋をストロークに取り入れる1つ目のメリットは、「シャトルに力が効率的に伝わる」ことだ。
具体例として、クリアを打つ際に内旋外旋を活用している人活用していない人で以下のような違いがある。

  • ・内旋外旋を活用していないクリア:手首をこねる上から下に振り下ろすショットになりやすく、手首の力しかシャトルに伝えられずシャトルが奥まで飛ばない
  • ・内旋外旋を活用したクリア:腕全体(肩・肘・手首)の力をシャトルに伝えられるため、軽く打っても奥まで飛ぶ

具体例としてクリアのみを取り上げたが、内旋外旋をマスターするとほかのショットでも今までより飛距離や威力が増すだろう。
また、追い込まれて苦しい体勢からのショットでも楽に狙った場所に飛ばせるのである。

メリット2|怪我が減る

内旋外旋をストロークに取り入れる2つ目のメリットは、「怪我が減る」ことだ。
先ほども紹介したが、内旋外旋を理解していない方は手首だけでシャトルを打っている場合が多い。
そのような打ち方をしていると、手首の一箇所だけに負担が集中し怪我の原因にもなる。
一度手首に怪我をするとパフォーマンスレベルが下がり、慢性化するとスポーツ時以外にも影響する怪我になりかねないので注意が必要だ。

一方、内旋外旋を活かしたフォームの場合「肩→肘→手首」へと順番にかつ均一に力が入るため、腕全体を使ったスイングができるようになる。
そのようなスイングは、体の負担が分散されるため怪我が少なくなるのだ。

内旋外旋を活用したフォームの解説

内旋外旋のメカニズム・メリットを理解したところで実際にどのように打てばいいのかと疑問に思う方も多いだろう。

おさらいにはなるが、内旋外旋はショットによって使い分けられるのである。

  • 内旋:フォアハンドで活用
  • 外旋:バックハンドで活用

ここからは実際のショットを一例に挙げながら、「内旋を活用したフォアハンドの打ち方」「外旋を活用したバックハンドの打ち方」これからを解説する。

フォアハンドに活用する内旋

フォアハンドに活用する内旋

まずは、フォアハンドに活用する内旋のフォームについてだ。

ここではクリアをベースに紹介する。
実際の内旋を使ったクリアの打ち方は以下の通りだ。

  • スイング初動:イースタングリップの状態でシャトルの下に入る
  • スイング初動〜インパクト:シャトルにラケットを合わせながら肩→肘の順番に少しずつ内側に捻り始める(内旋の準備)
  • インパクト:肩肘の捻りの力を手首伝達して、インパクトの瞬間に手首を回内して力を込める

最初は力の入れ方が上手く理解できず、今よりもパフォーマンスが下がる可能性もあるだろう。
内旋の動作が感覚として掴めない場合は、BWF TV公式アカウントがYouTubeで投稿しているドイツOPの桃田賢斗選手の試合等をスイングに注視して観るのもおすすめだ。
特にハイライトシーンは、ショットを横から撮影した映像もありスローでスイングが確認できるため、非常に勉強になるだろう。

何度も内旋を意識して練習を続けたり、まわりの方やプロ選手のフォームを参考にしたりしながら内旋の感覚を自分の中に落とし込めれば、スマッシュ・プッシュなどの攻撃的なショットにも活用でき、精度が格段に上がるはずだ。

バックハンドに活用する外旋

バックハンドに活用する外旋

次に、バックハンドに活用する内旋のフォームについてだ。

ここではバックハンドロブをベースに紹介する。
実際の外旋を使ったバックハンドロブの打ち方は以下の通りだ。

  • スイング初動:グリップを相手方向に見せながら、手のひらを下にしてシャトルの下に入る
  • スイング初動〜インパクト:シャトルにラケットを合わせながら肩→肘の順番に少しずつ外側に捻り始める(外旋の準備)
  • インパクト:肩肘の捻りの力を手首伝達して、インパクトの瞬間に手首を回外して力を込める

フォアハンドより力を入れづらいため、バックハンドのショットは力任せに打とうとする方が多い。
だが、インパクトの瞬間に外旋を使い軽く力を込めるだけでシャトルはコートの奥まで飛んでいく。

外旋の感覚をマスターすれば、スマッシュレシーブ・ハイバックなどの比較的守備的なショットにも活用でき、精度も格段に上がるはずだ。

まとめ|内旋外旋を意識して更なる高みへ

内旋外旋には、「シャトルに力が効率的に伝わる」「怪我が減る」などメリットがある。
どんなショットも力一杯スイングしているのにもかかわらず、シャトルが飛ばない方や力のない女性の方などは「内旋外旋」を一度身につけてしまえば、力がなくてもシャトルが飛ぶ感覚に気づきプレーの幅が広がるはずだ。

意識して取り組めば、個人差はあれど1ヶ月以内にこの記事で紹介している「内旋外旋の基礎」を習得できるはずだ。
ぜひ試してみてほしい。