2022年度の全国体力テストの結果がスポーツ庁より公表されている。

その結果を見てみると、ハンドボール投げは中学生男女で
男子は平均20.2m
女子は平均12.4m
と2008年からの全国体力テストの結果を調査開始以来、ハンドボール投げは下降傾向で過去最低を記録し続けている。

これらの結果から分かる通り、近年の子供たちの運動機会が減っていて筋力が低下している事実も否めないが、根本的にハンドボールの投げ方がわかっていないのが現状なのだろうと考える。

私は小学生から大学生まで12年間ハンドボールを経験してきて、社会人となった今でもクラブチームで定期的に活動している。

その経験から踏まえ、今回はハンドボールをなぜ遠くに投げることができないのか、またどうしたら遠くに投げることができるのかを解説していく。

なぜボールは思い通りに飛ばないのか

ハンドボールを投げても思った通りに飛ばない理由は、ボールの重さや投げる角度、力の入れ方、ボールの持ち方など色々な原因が考えられる。

ハンドボールは小学生で行われるボール投げに使用されるソフトボールとは違う。

ソフトボール投げで使われるソフトボール1号の大きさは外周26~27cmに対し、ハンドボール投げで使われるハンドボール2号の大きさは外周54~56cmと倍以上の大きさである。

また重さも、ハンドボールは約400gとソフトボールよりも約3倍重い。

このことからハンドボールを遠くに飛ばせない人に多く当てはまるのが、ボールを掴んで投げることができずに手のひらで押し出してボールを投げていることが多い。

そのため十分な角度がつけられないのと身体全体の力が使えず、手だけで投げていることが、距離が伸びにくい原因のひとつとされている。

投げるときのポイントと練習方法

ハンドボールを飛ばすためには、いくつかのポイントを意識することが大切だ。

先にハンドボールを遠くに投げられない原因として挙げているボールの持ち方や身体の向き、腕の振り方を見ていく。

ボールの持ち方と身体の使い方

まずはボールをしっかりと握ること。指先から力が伝わるようにすることが大切となる。

とはいえ、個々の手の大きさや握力によって大きいハンドボールを握るように持つことは難しいため、最初は一回りサイズが小さいハンドボール1号球でボールを握る練習をしてみてもいい。

他にもボールの空気を抜くなど、ハンドボール自体に工夫を入れてみよう。

ボール自体を握りやすくして指先から力が伝わるように投げる感覚をつかむのだ。

もし松ヤニや両面テープが使えるのであれば、より効果的にハンドボールを握ることができる。

ハンドボールを遠くに投げるには、

  1. 指先でボールをしっかりと握ること。
  2. 下半身で1歩、2歩と腰を、ボールを飛ばす方向に向けるようにステップを踏む
  3. ステップの踏み方は利き手が右利きなら、一歩目の足は右、左足の順で踏む。利き手とは逆の足を踏み込むのだ。
  4. そうすることで自然と肩もボールを飛ばす方向に入り身体全体でボールを飛ばす力が伝わる。
  5. 腕を振るフォームはオーバースローで肩、肘ともにあげて最高到達点でボールをリリースすること。その際に利き手と逆の腕は肩と一直線になるまで上げて、肘は少し曲げる。そうすることで逆の腕は体の軸を支える役割を果たす。

以上のことを1から順に意識すれば、自然とボールは遠くに飛ぶようになっていく。

ここで重要となってくるのが、力まないこと。

腕を振るフォームまではリラックスした状態で入り、ボールをリリースするタイミングで一気に手首に力を入れることがポイントとなる。

さらに、ボールを投げる際には、ボールのコントロールも意識するべきだ。

まっすぐに向かうようにスピンを縦回転するようにかけて投げれば、飛距離も必然と伸びるだろう。

ななめにシュート回転をかかってしまう、ボールが目標から左右どちらかにぶれてしまうなど、縦回転のきれいなスピンを描けないと全身の力がうまく伝わらず、飛距離に影響してくるのだ。

ボールをしっかりと握れるようになったら、ボールを遠くに飛ばすための身体の使い方を身につけていこう。

効果的な練習方法

ハンドボールを遠くに飛ばせるようになる練習方法とは。まずは2人1組になり対面で近い距離からのキャッチボールを始めてみることをおすすめする。

ボールを握った状態で正しいフォームを意識して、力まずにボールをリリースするタイミングで手首に力を入れるコツを覚えたら、徐々にキャッチボールの距離を伸ばしてみよう。

正しいフォームと身体の使い方でボールを投げてみて、どれくらいの距離までボールが相手に届くことができるかを確かめることができたとする。

その際にもっと飛距離を伸ばしたいとなったときは、身体の筋力のどこかが足りないのだと認識しよう。

踏み込むステップの力が足りないのか、それともボールの重さからうまく腕を振ることができないのかなど、自己分析から自分に足りない筋力トレーニングを行い、ボールを遠くに飛ばす力を高めるのも大事なのだ。

ハンドボールを遠くに飛ばしたければ、まずはハンドボールを投げてみることから始めるべきである。

まとめ

ソフトボールよりもはるかに大きく重いハンドボールを遠くに投げることは決して簡単なことではない。

正しいポイントを押さえて練習することで、飛距離を伸ばし、けがの防止にもつながるだろう。しっかりと基本を身に着け、努力を続けることが上達への近道である。