「下半身を使って、スイングしろ」
「下半身と上半身を連動させろ」

バッティングの指導において、よく下半身の重要性を説かれることが多い。
しかし、下半身をどのように使えばよいか、具体的な指導を
受けることは少ないのではないだろうか。

そこで今回は、野球歴10年以上の筆者が
バッティングにおける下半身の使い方や下半身主導の
バッティングを身に付けるためのトレーニングなどについて解説する。

下半身主導のバッティングの重要性

一般的なバッティングフォームは、簡単にかみ砕くと、下記の通りである。

  1. 軸足(後ろ足)に体重を乗せる
  2. 上半身はトップを作り、下半身では前足を踏み出す
  3. 体重移動と共に、下半身(骨盤)を回転させ、バットを振り出す

このように、バッティングをするには体重移動や下半身の回転など
あらゆる動作において下半身の役割が非常に重要となっている。

また、バットを振り出す際は下半身(骨盤)から回転させ
上半身を連動するように身体全体を使ってスイングすることが重要だ。
下半身を上手く使えないと、いわゆる“手打ち”と呼ばれる状態になる。

“手打ち”になると、腕の力だけを使って打つことになり
強いボールを打つことができない。

そして、上半身と下半身が連動できないと
身体の開きが早くなったり、前に突っ込んでしまったり
打ち損じの原因になり得る。

つまり、腕の力だけでなく、下半身と上半身を連動させ
身体全体でスイングすることで、ボールに強い力を
加えることができ、打球を遠くに飛ばすことができる。

バッティングにおける下半身の使い方

上述したように、バッティングでは体重移動や
バットの振り出しにおいて、下半身の役割が重要になっている。

ここでは、体重移動や下半身の回転における
細かい下半身の使い方を解説したい。

バッティングにおける下半身の使い方のポイントは下記の通りだ。

  • 軸足の母指球に体重を乗せる
  • 踏み込む足は、親指から着地する
  • 下半身(骨盤)主導でバットを振り出す
  • 踏み出す足を少し曲げた状態で着地させ、回転に合わせて、足を伸ばす

体重移動では、まずは軸足に体重を乗せる必要がある。
この時、軸足の母指球(親指の付け根)に体重を乗せることを
意識するとよい。

母指球に体重を乗せることは、軸足の内側(投手側)に力が乗ることになる。

そのため、体重移動を行いやすく、地面を蹴りやすくなるので、次の動作に繋がる。

次に前足を投手側へ踏み出していくことになるが
体重を軸足に残したまま、踏み込む足の親指から着地させることが理想とされる。

踏み込む足の親指から着地させることで
身体が開かない状態で踏み込むことになるので
軸足に体重を残しやすい。

最後に体重移動と共に下半身主導でバットを回転させ、振り出していく。

バットの振り出しにおいては、下半身主導でバットを回転させていくことが重要だ。

回転の力を最大限にするには、踏み出す足を少し曲げた状態で着地させ
回転に合わせて、足を伸ばすことが理想とされる。

曲がった状態から足を伸ばすことで、力をより強く出すことができる。

また、人間の体の構造上、伸展した状態の方が、力が入りやすい。

体力測定などで握力を測る際、多くの人は腕を伸ばした状態で測定するだろう。

これは、伸展した状態の方が、力を発揮できるからである。

このような形で下半身を使い、下半身主導で回転させて
スイングするのが理想とされるバッティングフォームである。

その一方で、プロにはインパクトの瞬間に腰を逆回転させて打つ
いわゆるツイスト打法を行う選手がいる。

ツイスト打法で有名な選手として 読売ジャイアンツの阿部慎之助選手や丸佳浩選手などが挙げられる。

一般的な下半身の使い方とは逆の動きになるが ツイスト打法も理にかなった打法である。

気になる選手は取り入れてみるとよいだろう。

下半身主導のバッティングを身に付けるトレーニングや練習法

歩きながらの素振りやグラウンド整備用のトンボでの素振りなどが 下半身主導のバッティングを身に付けるトレーニングとして有効だ。

歩きながら素振りのやり方は簡単で 歩きながら軸足を前足の後ろの位置に来るように引き その軸足に合わせて、前足を踏み出してスイングをする。

このやり方で素振りをすることで、体重移動がスムーズになり 自ずと下半身が使えるようになる。

もう一つは、グラウンド整備用のトンボでの素振りだ。 トンボがなければ、長いバットでも問題ない。

長いバットやトンボを上半身だけでスイングをすることは 不可能であり、下半身を上手く使わなければ、スイングできない。

そのため、自ずと下半身を使ってスイングをすることになる。

最後に

今回の記事では、バッティングにおける下半身の重要性や 下半身の使い方について解説した。

バッティングにおいて下半身の使い方は基本となるため、早めにマスターしておきたい。

また、下半身の重要性を理解していても 気付かないうちに上半身主導のスイングが癖ついてしまうこともある。

その場合には、歩きながら素振りやトンボを用いた素振りで 下半身主導のバッティングになるように矯正するとよいだろう。