ハンドボールのオフェンスの基本は
シュートを狙う意識を持つことが大事だ。
しかし、シュートしか選択肢がなければ
相手のディフェンス側からしたら、前に出て止めるというように
これほど守りやすいものはないと言える。
そこで次なるオフェンスの選択肢となるのが
1対1で相手ディフェンスを抜くことになる。
そしてシュートを打ったり、パスをさばいたりとオフェンスの選択肢が
増えていくことによって相手ディフェンスにとって脅威となるのだ。
今回は、1対1で負けないフェイントを5つと
そのトレーニング方法について紹介していく。
フェイントの基本的な考え
1対1の状況でオフェンス側が負けないために重要なのがフェイントの緩急とキレである。
フェイントに緩急をつけることによって、
フェイントのキレが向上し、
相手ディフェンスの守るリズムが崩されていくのだ。
緩急の使い方は、ハンドボールにおいて非常に重要であり、
ただ速いだけではなく、急減速や急ストップを意図的に行うことで、
相手ディフェンスとの間合いをつくり、フェイント力を高めることができる。
急減速や急ストップの瞬間を作ることによって、
1対1の局面で優位に立つメリットがあることがわかる。
具体的なメリットとして、急減速と急発進の差が生まれ、
相手ディフェンスを翻弄することが可能になる。
急減速や急ストップなどの動きを入れることによって、
相手ディフェンスの動きを観察することが可能となり、
ステップを切り返しや方向転換がしやすく、1対1が容易に
抜きやすくなるのである。
フェイントに緩急を取り入れることによって、
攻撃の幅が広がり、相手ディフェンスが対応しにくくなるのだ。
次に「キレ」のあるフェイントを身につけるためには
どうしたらいいかを解説していく。
重心移動を利用したサイドステップや肩の動きなど、
具体的な技術やポイントについての紹介もしていこう。
サイドステップを踏む中で体の重心も左右にすばやく移動させることで、
キレのある動きが生まれ、相手ディフェンスにとってオフェンスが
どちらの方向に行くのか予想がつかなくなる。
フェイントのキレをより向上させるには、
骨盤や大臀筋などを意識して体をうまく使うことによって
緩急もある動きも強調されるのだ。
利き腕側に抜く動きや方向転換においては、
肩の動きもフェイントしたい方向に向けることが重要である。
これにより相手ディフェンスはフェイント方向に守りに行くため、
それを利用して相手ディフェンスとは逆側へ巧みにかわせるようになるのだ。
ハンドボールの1対1で使えるフェイントテクニック
では、実際に試合で使えるフェイントテクニックを5つ紹介していく。
ハンドボールの試合でシュートやフェイントといった
個人で打開できる技術を身につければ、相手からしたら
脅威であることに間違いないので、これから紹介するフェイントは
ぜひマスターしてもらいたい。
フェイントはスピードだけでなく、
体の使い方や足の運び方、タイミングが重要で
あることをいま一度頭に入れてから確認しよう。
- インフェイント
-
相手ディフェンスの身体から非利き手側に
半身ずれて0歩でボールをもらい、利き手側の足を軸にして
ステップを踏み、2歩目で利き手側の方に相手をかわす。
足の使い方と肩の動きがポイントとなる。
- Wフェイント
-
インフェイントと同じく、利き手側の足を軸にステップして
相手ディフェンスを半身ずらし、利き手側に重心移動して、
もう一回、非利き手側の足を軸に重心移動して、
3歩目で非利き手側にフェイントして相手をかわすのだ。
- クロスフェイント
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非利き手側の足でステップして非利き手側に半身をずらし、
クロスステップを使って相手をかわす。
利き手側の足を大きく動かし、横に大きくかわすことがポイントとなる。
- シュートフェイント
-
相手がフェイントを警戒して、1対1を守るような手を横に広げた
ディフェンスをしてきたら、相手ディフェンスの頭上を貫くように
シュートを打つふりをしたとき、相手ディフェンスはシュートを
守りに行こうとブロックするかのように両手を挙げ、足も止まる。
それを狙って、インフェイントがより有効となりかわしやすくなる。
- ジャンプシュートフェイント
-
ステップシュートフェイントと同じく、ジャンプシュートを狙い、
相手ディフェンスがシュートブロックするために飛んだ瞬間、
シュートを打たずにワンバウンドさせて、自身が着地してから、
相手を容易にどちらの方向でもかわすことができる。
どちらのシュートフェイントにもおけるポイントは
相手ディフェンスをよく観察することだ。
相手ディフェンスを観察したうえで、
シュートフェイントをかけることに有効性を発揮し、
他のフェイントとは異なり、少しながら時間に余裕が
生まれるのもメリットの1つである。
これらのフェイントテクニックを習得するためには毎日の反復練習は欠かせない。
そして、実践で使っていく中で失敗を糧に
なぜうまくいかなかったことを考えることによって、
自分なりのフェイントが身についてくるのだ。
他にもフェイントが得意なプレーヤーの動きを
マネることによって自身の体が徐々にリズムや足さばきを覚え、
高度なテクニックを身につける手助けともなるだろう。
キレのあるフェイントが身につくトレーニング方法
これまでフェイントにおける重要性や考え方、
実践で使える絶対にマスターすべきフェイント集を紹介してきたが、
最後にキレのあるフェイントを磨くトレーニング方法
について紹介していく。
冒頭でも伝えたが、キレのある動きは、瞬時の切り替えや
巧みなフェイントをする際に必要なスキルであり、
そのためには横方向の動きに対する強化が不可欠となる。
横方向の動きに必要な要素として、
足の側面の筋肉と後ろ片足での安定性と体幹が
重要となってくる。
それらを鍛える3つのトレーニング方法を紹介していく。
- 床に寝そべりながら足を上下に動かす。 これにより側面の筋肉と後ろ片足の安定性を鍛えることとなる。
- 次に紹介するのは、壁を使ったトレーニングだ。 足を使って壁に押し付けつつ、母指球を使って体を 沈め上げる動きが行うこと。
- 膝を開いて床に爆発的に蹴ること
これらのトレーニングを継続的に行うことで、
キレのある動きやフェイントの習得に繋がり、
1対1で相手ディフェンスを巧みに抜く能力を
向上することが期待できる。
しかしながら、ハンドボールの試合では1対1で
相手ディフェンスを抜いてノーマークでシュートする
シーンはあまり多くない。
なぜならディフェンスは横に6人並んでいるため、
もし1人抜いても別のディフェンスがカバーに
よって来ることが多いからだ。
その際に必要となってくるのがディフェンスの
隙間を縫ったカットインである。
低い重心でディフェンスの隙間を破ることが大切となってくる。
低い重心ならば、相手にホールドされても
引きずってシュートまで持っていくことが可能となり、
相手にペナルティーを与えることもできる場合もある。
しかし、重心が高いとディフェンスに捕まってしまうと
シュートまで持っていけないのだ。
そのため、ハンドボールでは重心を低く保つことが
非常に重要となってくる。
重心を低く保つための鍵は、関節の柔軟性にある。
股関節を柔軟にするトレーニング方法は以下の通りだ。
-
ベッド下に体育座りのような座り方をし、
お尻を後ろに落としていく。 -
太ももに密着させた状態で膝を伸ばし、
前に倒して背中を伸ばす。 -
体育座りから足を広げ、片方の足と反対側の腕で
地面に触れる動作を繰り返す。 -
ベッドが立てずに片方の足を前に出し、
つま先で地面に触れながら膝を曲げる。
これらのトレーニングを実施することによって、
股関節の柔軟性が向上し、キレのあるステップワークを
身につけることができるだろう。
まとめ
フェイント技術を身につけることによって、
個人のスキル向上はもちろん、試合においてチーム全体の戦術を支え、
臨機応変に対応できるプレーヤーとして相手に脅威を
感じさせることに違いない。
練習と実践を通じて、これらの技術を確実に
マスターし、自分だけの技術を磨いていけば、
自分のチームにとって欠かせない存在となっていくことは
間違いないだろう。