「ボールを最後までよく見ろ」
「目線をぶらすな」
バッティングの指導において、
目線についての指導を受けることが多いのではないだろうか。
バッティングにおいて、目線は非常に重要であり、
どんなに正しいバッティングフォームをしていても、
ボールを見ないで打つことは不可能に近い。
そこで今回は、野球歴10年以上の筆者が
バッティングにおけるボールの見方や目線のブレを
抑えるバッティングフォームなどについて解説する。
バッティングにおける目線の置き方やボールの見方
まず初めにバッティングにおいて、
どこに目線を置いた方が良いか、ボールの見方を解説したい。
投手が投球モーションに入ると同時に打者は
タイミングを取り始めるが、この時はまだ投手全体を見るとよい。
投手によっては、変化球を投げる時に特定の癖が現れるなど、
投球フォームの違いで投げる球種を判別できる場合があるからだ。
投手がテイクバックをしたタイミングで、
ようやくボールを持つ腕付近に目線を合わせていく。
打者からテイクバックが見える場合は、
どのタイミングでボールが放たれるかイメージしやすくなる。
つまり、ボールがリリースされてから
目線をボールに置くのではなく、投手のテイクバックの段階で
ボールを持つ腕付近に目線を移しておくことでタイミングが
取りやすくなる。
反対に投手はテイクバックを背中で隠し、
直前までボールが見えない、いわゆる球の出所が
見えないフォームが有効である所以は
打者がタイミングを取りづらいだめだ。
打者からすると、ボールが突然出てくるような感覚になり、
タイミングが取りづらい。
福岡ソフトバンクホークスで活躍する和田毅投手が
ボールの出所が見えにくいフォームをしていることで有名だ。
ボールがリリースされてからは、ボールの内側を
見る意識を持つと良い。
多くのプロ野球選手がボールの内側を打つことを心掛けている。
ボールの内側を打つことで、
インサイドアウトのスイングが意識付けられるからだ。
また、ヘッドが返りにくくなったり、
振り遅れてもファールにできたりするなど、多くのメリットがある。
そのため、ボールを見る段階からボールの内側を
見る意識を持つことが推奨されている。
そのままインパクトまでボールを追い続け、ボールを捉えていく。
これがバッティングにおける基本的な目線の置き方、ボールの見方だ。
目線のブレを抑えるバッティングフォーム
前の章では、バッティングにおける目線の置き方や
ボールの見方を解説したが、正しいボールの見方をしていても、
バッティング中に目線がブレてしまうと台無しになる。
目線がブレると、動体視力にも影響を及ぼし、
正しくボールを捉えることが難しくなる。
目線がブレてしまう最大の要因は、
トップから踏み出しの間で頭が上下に動いてしまうためだ。
ミート力に定評がある打者は
トップから踏み出しの間で頭の位置がほとんど動いていない。
反対に構えの重心が低い打者や足を大きく上げる打者は、
特に目線がブレやすいと言われている。
構えの重心が低い選手はトップを作る際に
構えの位置、つまり顔の位置が高くなりやすいため、
目線のブレに繋がりやすい。
足を大きく上げる打者も、
ステップ(足の踏み込み)の際に頭の位置が下がりやすい。
どちらのバッティングもフォーム自体は悪いものではないが、
目線のブレには気を付けたいところだ。
目線のブレを抑えるには、
あらかじめ顎を引いた状態で構えることが有効だ。
顎を引いて肩越しに投手を見ることで顔の位置が固定される。
また、ボールがバットに当たる瞬間まで見ることも、
目線のブレを防ぐのに効果的だ。
プロレベルの速いボールを実際にインパクトの瞬間まで
目視することは不可能に近いが、ボールを最後まで
見続ける意識を持つことで、顔が残る。
反対にボールから目を切ってしまうと顔が残らず、
目線のブレに繋がっていく。
野球中継でよく聞く目付けについて
バッティングでは目線をぶらさないことが重要であると指導を受けるが、
目線によく似た言葉として目付けという言葉もよく耳にするだろう。
目付けとは、ボールをミートするポイントのことを指す。
打者によっては、目付けをピンポイントで決めている。
プロ野球中継などで簡単に見逃し三振をする選手を見るのは、
自分の目付けとは違うボールがきたためだ。
ストライクゾーンからボールゾーンに
流れる低めの変化球に手が出てしまう打者は、
目付けを上げて、高めに設定していることが多い。
最後に
今回の記事では、
バッティングにおけるボールの見方や目線のブレを
抑えるバッティングフォームなどについて解説した。
細かいバッティングの技術とは違い、
目線については侮りやすいが、非常に重要になる。
目線のブレ、つまり頭が上下に動いているかについては
鏡を見て素振りをしたり、自分のバッティングを動画で
取ったりするなど、自分でも確認しやすい。
捉えたと思ったボールの打つ損じが多い選手は、
目線のブレについて確認してみるとよいだろう。