スポーツプレイヤーにとって、
日々のトレーニングと同じぐらい重要なのが「食事」だ。
一般的には、栄養をバランスよく摂取するのが重要だとされている。

しかし、スポーツプレイヤーはそれだけでは足りない。
バランスのいい食事に加えて、以下の2点を押さえた
ワンランク上の食事法が必要である。

  1. トレーニング中に消費された栄養素を補う
  2. パフォーマンスアップを促すための栄養素を積極的に摂取する

今回はスポーツ食事学入門と題して、
3回に分けて試合に勝てる体を作るための食事法を紹介していく。

  1. 三大栄養素の重要性とスポーツプレイヤーが不足しがちな栄養素
  2. タンパク質の重要性とプロテインの選び方
  3. 運動のパフォーマンスをすぐに高められるサプリメント

第一回目のテーマは、
「三大栄養素の重要性とスポーツプレイヤーが不足しがちな栄養素」だ。

三大栄養素の重要性

三大栄養素の重要性

ワンランク上の食事法は、
基礎的な三大栄養素をバランスよく摂取するうえに成り立つのだ。

まずは、下記の三大栄養素のそれぞれの働き、摂取量等を紹介する。

  • たんぱく質
  • 脂質
  • 炭水化物

実は、三大栄養素の知識すら乏しいスポーツプレイヤーも多い。
これを機に食事法の基礎から学んでいこう。

たんぱく質

まずはスポーツプレイヤーの筋肉の源になる「たんぱく質」だ。

働き 筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体を構成する働き
タンパク質の多い食材 豆・卵・肉・魚など
タンパク質が不足するとどうなるか 筋肉量や体重の減少し、疲労が取れづらくなる

筋肉量を増加させる材料となるのが、たんぱく質だ。
このタンパク質が不足すると、筋肉量が減少する。

食事から摂取している総エネルギーが不足すると、
体内の筋肉を分解してタンパク質をエネルギーとして利用し、
必要なエネルギーを捻出するからだ。

1日あたりの摂取量の目安は、「体重1kgあたり1.4〜2g」だ。
60kg体重があるとすれば、84g〜120gのたんぱく質を摂取する必要である。

食事のバランスを考える際には、
1日に摂取するエネルギーの13~20%をタンパク質で補おう。

脂質

過剰摂取が体重増加に影響し敬遠されがちなのが、「脂質」だ。

働き ホルモンや細胞膜、核膜を構成し、体を寒冷から守る
脂質の多い食材 牛肉・豚肉、バター、サバ・ブリなど
脂質が不足するとどうなるか 疲労回復スピードや体の免疫力低下やビタミン不足につながる

疲労回復に重要なのが、脂質だ

この脂質が不足すると、疲労回復が遅くなり、
怪我につながりやすいのだ。

特に肉離れなどの筋肉系のトラブル、筋膜系のトラブルが増加する。

そのため、1日78〜117g摂取を意識しよう。
食事のバランスを考える際には、
1日に摂取するエネルギーの20~30%を脂質で補おう。

炭水化物

主食がご飯である日本では、
一番馴染みがあるのが「炭水化物」ではないだろうか。

働き 脳や筋肉などの体の細胞が活動するためのエネルギー源
炭水化物の多い食材 お米、とうもろこし、干しぶどうなど
炭水化物が不足するとどうなるか 疲れやすくなり、判断力・注意力低下につながる

炭水化物は、体内に吸収されてエネルギー源になる
「糖質」と、消化吸収されずエネルギーにならない
「食物繊維」に分かれる。

この炭水化物が不足すると、疲労が溜まりやすく、
判断力・注意力が低下するのだ。

瞬間的なパワーを発揮するスポーツをやっている方は、
体重1kgあたり6g、持久力を発揮するスポーツをやている方は
7g〜10g摂取を推奨する。

食事のバランスを考える際には、
1日に摂取するエネルギーの50~65%を炭水化物から補おう。

スポーツプレイヤーが不足しがちな栄養素

三大栄養素の重要性

基本的な三大栄養をバランスよく摂取するのが、
パフォーマンス向上につながるのだ。

しかし、スポーツをする方特有の不足しがちな栄養素も存在する。
不足しがちな栄養素は、以下の通りだ。

  • 糖質
  • ミネラル
  • ビタミンD

三大栄養素に加えて、上記の栄養素を摂取すると、
パフォーマンスアップや怪我の予防にもつながるだろう。

糖質

先ほど紹介した通り、糖質は炭水化物の一種。
糖質が不足する起こる現象は、以下の通りだ。

  1. 運動すると筋肉・肝臓に貯蔵された糖質がエネルギー源として利用される
  2. 糖質不足になる
  3. 頭痛・眩暈や熱中症などを引き起こす

特に夏などは、運動中も定期的に糖質を
補給しないと熱中症のリスクが高まるのである。

糖質が多い食材 米や小麦などの穀物、ヨーグルト、100%果汁ジュース

体重60kgの方が1~3時間の運動を行う場合、
1日に360g~600gの糖質を摂取する必要がある。

また、運動前・運動中・運動後で糖質を
摂取する量や摂取するうえでのポイントが異なるのだ。

運動前
  • 体重1kgあたり1~4gの糖質の摂取が必要。
  • 運動1~4時間前に糖質を補給する
運動中
  • 1〜2.5時間の運動の場合、30〜60gの糖質摂取が必要
  • 一度に必要量を摂取するのではなく、こまめに補給する
運動後
  • 連続で試合や練習がある場合は失われた糖質をすぐに補給
  • 試合や練習がない場合は、翌日のコンディションを整えるために、糖質を食事から摂取する

特に運動中は、糖質が不足しやすいため、
こまめに糖質補給を行う意識を持とう。

ミネラル

糖質同様に運動中に不足しがちな栄養素が、「ミネラル」である。

強度の高い運動や長時間の運動により
ミネラルが不足すると、以下のリスクがある。

  • 筋肉の痙攣や疲労骨折
  • 集中力低下

運動中の発汗により汗と共にミネラルが失われ、
ミネラル不足が神経系にも影響を及ぼすため、
上記のリスクにつながるのだ。

ミネラル不足により怪我や集中力低下を招かないためにも、
ミネラルの多い食材を運動前後に取り入れるのが重要である。

ミネラルが多い食材 牛乳・小魚・野菜

ミネラルの摂取量は以下の量を参考に、摂取量を考えてほしい。

栄養素 推奨量 耐容上限量
カルシウム 男性:800mg 女性:650mg 2500mg
男性:7.5mg 女性:6.5mg 男性:50mg 女性:40mg
マグネシウム 男性:340mg 女性:270mg 350mg

参考:厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年度版).

運動中の汗から損失する分も考慮して、
気持ち上記の量よりも多めに摂取することをおすすめする。

ビタミンD

女性の方やインドアスポーツをしている方に
不足しがちなのが、「ビタミンD」である。

ビタミンDはそもそも、紫外線を浴びると体内で生成される栄養素だ。

そのため、ビタミンDの生成を妨げる日焼け止めを塗ったり、
インドアスポーツで太陽の光を浴びなかったりすると、
ビタミンDが不足する。

ビタミンDが含まれる食材 牛乳・小魚・野菜

ビタミンDを不足すると、疲労骨折・肉離れのリスクが上がる。

ビタミンDが含まれる食材もあるが、
短時間の外でのウォーキングやサプリメントでの摂取の方が効率的だ。

推奨されている摂取量は、8.5μgである。
女性の方やインドアスポーツをしている方は、特に意識して摂取したい。

まとめ

今回は食事の基礎となる三大栄養素とスポーツプレイヤーが
不足しがちの栄養素を紹介した。

食べ物から摂取できない場合は、
サプリメントで補うのも一つの手段だ。

しかし、サプリメント摂取の効果が十分ではないものもあるため、
できる限り食べ物からの摂取をおすすめする。

次回は、スポーツプレイヤーがパフォーマンスを
高めるために最重要なタンパク質とプロテインの選び方を
説明したい。